投資にはつきものの、損失の拡大を避けるために含み損を抱えていても売る「損切り」と、含み益が出たところで売る「利益確定」(利確)。そのタイミングは、実に難しい。もっと上がるんじゃないか。少し下がったけど、すぐにまた上がるんじゃないか…そう思っているうちに、含み損が膨らんでしまう人は少なくないようだ。

 そこでアエラは、相場の局面を(1)上昇(少し値が上向いてきた日本株のアクティブファンド)、(2)停滞(「環境関連」「資源」などのテーマ株)、(3)乱高下(値動きが激しい新興国株の投信)の三つに分類し、プロに対処法を指南してもらった。比較的よいタイミングで買った「ついてたAさん」と、高値づかみをしてしまった「うっかりBさん」のそれぞれについて、どのタイミングで売るべきかを聞いた。

 投信評価会社モーニングスター社長の朝倉智也さんは、「円安」のメリットを指摘する。

「日本株の場合、Aさん、Bさんの思いはそれぞれ違うでしょうが、分散投資の一環として先進国や新興国の投信に少し資産を振り分けると、円安による為替のメリットも受けられます」

 テーマ株にも多少は妙味があるという。

「テーマ株は投資先が限られているので、もっと視野を広げて、損切った分の資産で例えば日本の中小型株の投信を買うのも面白いかもしれません。ただ、テーマ株は何かの拍子にピッと値が上がることがあります。それに期待して、少額は残しておいてもいいかもしれません。新興国株のほうは、値幅が激しすぎると思うのなら、新興国や先進国の債券はどうでしょう。AさんもBさんも幸い、あまり損をしていません。今のうちにどうするか決めたほうがいい」

「投資信託事情」発行人・編集長の島田知保さんは、ばっさりと言い切る。

「タイミングを見て売ろうというのが、そもそも間違いです。上昇が見込めない、値幅が激しくて安心できないと思っているなら迷わず売るべきです。純資産額が急に減っているなど、購入当時と状況が変わっているのであれば、その投信が生き残っていけるのかも疑わしい。いま売ったほうがいいかというよりも、これからもおつきあいしたいかどうかで考えて。買った値段は忘れて、今の値段で買いたいと思うほど魅力かどうかで判断しましょう」

AERA 2013年2月18日号