アントレプレナーは「ゴーサインを出して事業を始動させる人」であり、投資のチャンスを見つけ、リスクを冒して投資し、独自のネットワークを広げていく。その代表が孫正義氏だ。

 リーダーは組織を率いて事業を収益に結びつけていく人であり、マーケティングの中核「PDB(Positioning, Differentiation, Brand)」を押さえて、価値ある製品やサービスを創り出す。一例はアリババの創業者、ジャック・マー(馬雲)氏である。

■来春発表される『Marketing 5.0』がついに明らかに

 その後に行われたセティアワン氏の講演では、2021年早々の発表を予定している、『Marketing 5.0: Technology for Humanity』の内容紹介が中心となった。『同3.0』『同4.0』の続編にあたり、同じ3名の共著である。

 セティアワン氏は、そもそも現代に続くマーケティング理論とは、1950年代から70年代にかけてのアメリカで誕生したもので、これが『マーケティング1.0』にあたり、ターゲットはベビーブーマー、カスタマーより製品やサービスにフォーカスしたマーケティングだったと、歴史的背景について概観する。

「マーケティング2.0」はカスタマー中心視点のマーケティングで、万人向けの製品よりパーソナライズされた商品を求める、1960年代~70年代生まれの「ジェネレーションX」の登場により生み出された。ここでは顧客をセグメントに分け、それぞれの嗜好に合わせた商品や販売チャネルを設けることが推奨された。

「マーケティング3.0」は顧客を単なる消費者としてではなく、人間性を持った存在として捉え、商品ブランドの構築においても、社会への影響までを含めたイメージ戦略を重視する、人間性重視のマーケティングである。

「マーケティング4.0」は、「3.0」をベースに、IT革命以降に生み出された製品やサービス、マーケティング手法を包摂した新理論だ。1980年以降に生まれ、デジタルに慣れたジェネレーションY、ジェネレーションZが対象顧客の中心となる。

 では「マーケティング5.0」は、どうなるのかというと、マーケティング4.0の進化形だとセティアワン氏はいう。マーケティング4.0で取り上げた情報技術は、すでに現代マーケティングの基本となり、多くの企業が使うものとなった。5.0ではAI、NLP(自然言語処理)、仮想現実技術(AR/VR)、ブロックチェーンなど、その後に開発されたアドバンスト・テクノロジーによるマーケティング改革を提唱する。

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