いよいよ日本の小惑星探査機「はやぶさ2」が12月6日未明(日本時間)、地球に帰還する。オーストラリア南部のウーメラに着陸するはやぶさ2の帰還カプセルには小惑星リュウグウで採取した砂や岩石の破片が入っている可能性が高い。これを分析することによって太陽系や生命の起源の謎に迫れると大きく期待されている。
姿勢を失い通信途絶、一時行方不明になった初代はやぶさ
「長い旅の終着点が見えてきました」
こう語るのは長年、はやぶさ2のプロジェクトチームを率いてきた宇宙航空研究開発機構(JAXA)宇宙開発研究所、津田雄一マネジャーだ。
「地球帰還はリュウグウへの2回の着陸、人工クレーターの生成など、非常に大きな科学的成果を達成したはやぶさ2の集大成と考えています」
打ち上げから約7年。総飛行距離約50億キロ。地球から冥王星までの距離に相当する広大な宇宙空間を旅してきた。残りはあと約20万キロほどだ(12月5日夕方時点)。
昨年11月13日にリュウグウを出発して以来、はやぶさ2を推進するイオンエンジンの運転はきわめて順調だった。9月にはこのエンジンを停止し、地球帰還に向けた最終誘導フェーズへ。10月以降は化学エンジンを使って軌道の微調整を繰り返し、探査機から切り離した帰還カプセルがウーメラの砂漠に正確に落下するように導く。
振り返ってみれば、2010年に地球に帰還した初代はやぶさの運用は困難を極めた。小惑星イトカワからの復路、化学エンジンの燃料が噴出。姿勢を失い、通信が途絶し、行方不明になった。絶望的な状況のなか、ごく微弱な電波の探知に成功。砂を数えるような緻密な努力を積み重ね、通信が復旧した。しかし、地球帰還は3年遅れに。さらに飛行に欠かせない姿勢制御装置やイオンエンジンの故障など、絶体絶命のピンチの連続だった。
奇跡といわれた地球帰還。それに比べると、はやぶさ2の旅路は順風満帆のように見えた。
ところが、今年に入るとプロジェクトチームは想像もしなかった事態に直面する。新型コロナの世界的なまん延だ。