ところが、自民党には、こと安全保障とエネルギー問題について責任を持って取り組めそうな国会議員が見当たらないのである。
2018年に政府は2030年のエネルギー基本計画を発表した。それによれば、再生可能エネルギー22~24%、原発20~22%、石炭・石油などCO2を出すエネルギー56%となっていた。
その石炭・石油を2050年にはゼロにしなければならないのだが、問題は原発である。当時の経済産業省の幹部によると、原発20~22%にするには、原発を複数基新設する必要があるという。
そこで、自民党の幹部5人に、原発の新設などできるのか、と問うた。誰もが否定した。なぜ実現不可能なエネルギー基本計画など作成したのか、と問うと、誰もが黙ってうつむいてしまった。
つまり、自民党の国会議員たちは、誰もが無責任に、見て見ぬふりをしていたのである。
2030年のエネルギー基本計画はどうなるのか。一体、国会議員の誰がこの問題に責任を持って取り組むのか。
それを何としても菅首相に確かめるつもりである。
※週刊朝日 2020年12月4日号
■田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数