待ったなしの地球の環境問題への取り組み。菅義偉首相は2050年までにCO2をゼロにすると宣言したが、ジャーナリストの田原総一朗氏は、日本のエネルギー計画について菅首相に問いただしたいことがあるという。
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現在、最も深刻な問題は「地球環境」、つまり地球の平均気温を何度までの上昇に抑え込めるか、ということだ。
現状では、地球の平均気温は2100年までに3・5度以上上昇してしまう。そして、3・5度も気温が上昇すれば、米国やアジアの途上国を中心に壊滅的な被害が及ぶことになる。
米国の識者が取り上げたいくつかの研究によれば、2度の上昇で次のようなことが想定される。
・地表部を覆う氷床の消失が始まる。
・4億人が水不足に見舞われる。
・赤道帯に位置する大都市は居住に適さなくなる。
・北半球でも夏の熱波で数千人単位の死者が出る。
・インドでは熱波の発生率が32倍になり、居座る期間も5倍に延びて、影響を受ける人の数が93倍に増える。
これでも、最良のシナリオなのだという。
では、上昇幅が3度だとどういうことになるのか。
・南欧では干ばつが慢性化し、中央アメリカ、カリブ海では干ばつがそれぞれ平均1年7カ月、1年9カ月も続く。アフリカ北部に至っては5年だ。
・森林火災で焼失する面積は地中海で2倍、米国で6倍以上になる。
そこで、2016年に発効したパリ協定では、地球の平均気温を産業革命前に比べて上昇幅を2度未満に抑えることを定め、欧州の先進国はいずれも、2050年までのCO2ゼロを宣言した。石炭、石油火力などをゼロにするというのである。
先進国でこの問題をあいまいにしているのは米国と日本だけだ。
米国はトランプ大統領が、なんとパリ協定から離脱することを決めた。一方、日本は菅義偉首相が国会で、2050年までにCO2をゼロにすると宣言した。
もっとも、2050年には菅首相も、自民党幹部たちも生きてはいない。だが、それまでにCO2をゼロにするために、2030年までにどのようなエネルギー計画を立てるのか。それを来年中には決めなければならないのである。