名脇役俳優として、ドラマや映画、舞台に欠かせない存在の浅野和之さん。今年はドラマ「半沢直樹」でも、ベテランの風格漂う存在感を見せつけました。作家・林真理子さんとの対談で、次の作品となる三谷幸喜さん演出の舞台、韓流ドラマ鑑賞で感じたことなどを語りました。
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林:「半沢直樹」、お疲れさまでした。後半の非常に重要な役でしたけど、歌舞伎の方たちはすごいテンションが高くて、ガンガンぶつかり合ってる感じでしたね。
浅野:香川(照之)君に続け!」みたいな感じで、いとこ(市川猿之助)同士で頑張ってましたが、僕は敵対するほうじゃなくて、仲間のほうだったので、静かにやらせていただきました(笑)。
林:堺雅人さん、NGをまったく出さないって本当ですか。
浅野:カメラが回ったときにはないですね。本番まではぜんぜん緊張を見せないんですよ。すごくフレンドリーで、本番のときに集中するみたいな。
林:そしていよいよ三谷幸喜さん演出の「23階の笑い」(12月5~27日 世田谷パブリックシアター)というお芝居が、ほぼ100%に近いお客さんを入れて始まるんですね。私を含めて演劇好きは「待ってました!」という感じです。しかも、原作がニール・サイモンで演出が三谷幸喜さんときたら、そりゃあ見に行きたいですよ。
浅野:三谷さんの師匠みたいな人ですからね、ニール・サイモンというのは。コメディーですから、このコロナ禍のときに、笑って年末を過ごせたらいちばんいいんじゃないかと思いますね。皆さん笑いに飢えてるでしょうから。
林:1950年代のテレビの業界が舞台なんですね。50年代の「赤狩り」のころの話ですか。みんなが「あいつスパイじゃないか」みたいな疑心暗鬼になっているころの。
浅野:そうです。マッカーシズム(マスメディア、映画人、演劇人などを標的にした共産主義者排除運動)のころの話です。
林:今、「ビッグコミックオリジナル」で「赤狩り」という漫画が連載中で、これがけっこうおもしろいんですよ。俳優や脚本家が、リベラルと保守の二手に分かれて争ってるという。
浅野:へーえ、そんな漫画があったんですか。読んでみます。