コロナだけではなく産業構造の変化も影響し、大失業時代がやってくる。アフターコロナでは、人よりもテクノロジーによって生産性を上げるデジタルトランスフォーメーション(DX)が進むことも産業構造の変化に影響するとみられている。なくなる仕事もあれば増える仕事もある。仕事の移行が必要な時代が迫っている。AERA 2020年11月30日号で掲載された記事を紹介。
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コロナ以外の要因も相まって、「大失業時代」を予測するのは、百年コンサルティング代表で、経営戦略コンサルタントの鈴木貴博氏だ。
「2020年代に産業構造が大きく変化する要素がたくさんあります。構造が大きく変わるので、特定の産業で大量の失業が起きたり、逆に介護など人手不足の業界が出てきたりして、その大きなアンバランスさが社会問題になると思っています。コロナだけの影響ではありませんが、2020~25年くらいにかけて大きな流れが起きてくるのではないでしょうか」
鈴木氏によれば、産業構造の変化が起きる理由はさまざまに存在する。
例えば、アフターコロナの時代のあり方一つをとってみてもそうだ。リモートワークが定着すれば、出張の機会が減ってビジネスホテルが今ほど必要とされないかもしれない。身近なところでは、鉄道会社はこれまで通りの収益を見込めないだろう。すでにJR東日本や小田急、東急などの大手私鉄でも最終電車の発車時刻の繰り上げなどが公表されているところだ。
コロナをきっかけに、デジタルトランスフォーメーション(DX、デジタル化による変革)はやはり「必要だ」という社会的な機運もこれまで以上に高まる可能性がある。すでに身の回りでコロナ前から進んでいた、スーパーやアパレル業界でのレジの無人化などを思い浮かべると分かりやすいだろう。
労働者が仕事を失わないためにはどんな手立てがあるのだろうか。鈴木氏が続ける。
「基本的には仕事を移行させるしかありません。なくなる仕事はありますが、それによって増える仕事は出てきます。マクロ的にはそのように解決するしかありませんが、誘導するために何をするべきかは、政府や企業が考えなければならないでしょう」