AERA 2020年12月7日号より(写真:各社提供)
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写真:旅行読売出版社提供
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 旧国鉄の赤字ローカル線を地元自治体と民間が引き継ぎ共同で出資してできた三セク鉄道に新型コロナウイルスが直撃し、悲鳴を上げていた。救世主となった「鉄印」の魅力とは。AERA2020年12月7日号の記事を紹介する。

【写真特集】三セク乗車の証し「鉄印」が人気

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 ここまで鉄印が人気になったのはなぜか。

 鉄印の旅を始めたばかりという埼玉県在住で会社役員のミンジュンさん(ハンドルネーム、40代)は、鉄印の魅力は乗車の「記憶」だけではなく「記録」としても残せるところだという。

 これまで入手した鉄印は、雄大な阿蘇の山々を背に走る「南阿蘇鉄道」と、先に紹介した「くま川鉄道」の二つ。実は、南阿蘇鉄道は16年の地震で被災し、現在も一部が不通、くま川鉄道も全線不通状態。ミンジュンさんは鉄印を買うことで、二つの会社を少しでも応援したいと考えたという。

「各社それぞれ工夫した鉄印のようなので、それを見るのも楽しみ。鉄印をもらえる沿線は行ったことのないエリアもあるので、国内旅行の素晴らしさを再発見できるように思います」

■鉄道好きも旅行好きも

 沿線は魅力も満載だ。

「夜は現地の居酒屋に行き、その土地の名産品を食べながら飲むことを楽しんでいます」

 そう話すのは、都内に住む会社員の善津英治(ぜんつえいじ)さん(ハンドルネーム、30代)。

 もともと旅行好き。47都道府県全てに宿泊し、次に何か制覇できるものがあればと考えていたところ鉄印の企画がスタートした。効率よく巡るため時刻表を調べながらルートを設定していくのが楽しい。これまで集めた鉄印は32社。手書きでダイナミックなデザインの、福島県会津地方を走る「会津鉄道」の鉄印がお気に入りだ。鉄印の魅力は?

「普段の旅行では目的地にならない場所に行けること。また知らなかった、乗る機会がなかった鉄道に乗れることです」

 鉄道ライターの杉山淳一さんは、鉄印は趣味の本質を見据えたサービスが奏功したと見る。

「コレクションは本能を刺激する趣味といえます。ただし鉄道趣味は、フィギュアやプラモデルなどのように実物を集めにくい。だから、代替物としてスタンプとか鉄カードとかコレクションの対象となる『御神体』の代わりになるモノがほしくなります。鉄印帳もその一つ。スタンプラリーと違う魅力は『受け渡しに駅員とのふれ合いがある』からで、鉄道ともっとつながりを持てた気がします。しかも『駅』『ローカル線』という、訪れやすい目的地のため、普通に旅行好きの人にも受けたのではないでしょうか」

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