■番宣でのテレビ出演に罪悪感?
一方で「気遣い屋」だからこその悩みもあるようだ。
「映画など出演作のプロモーションの時期には、宣伝のため数々のテレビ番組に出演するそうですが、2月に行われた主演映画の舞台挨拶で番宣についての悩みを明かしていました。というのも、テレビ番組に出過ぎてしまうと見ている人がお腹いっぱいになり、毎日毎日、大泉洋を見ているうちに『劇場に行かなくていいか』となりかねない。しかも、バラエティ番組に出たら全力なので、余計にお腹いっぱいになってしまうのではないかと感じているとか。さらに、『映画があるんだよという認知はできる。だけど映画を観たいと思う宣伝かというと別なんですよ』と、心情を明かしていました。そんな色々な配慮ができる気遣い屋ゆえ、言葉選びも的確で失言や暴言はまずない。そんなところも、家族揃って楽しむ紅白歌合戦の司会にふさわしいのかと思います」
ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、大泉の魅力についてこう分析する。
「近年、常に好感度ランキングの上位に入る大泉さんですが、バラエティ番組などを見ていると、ひがみや愚痴の混じった発言も多く、実はそれほど“いい人”ではない(笑)。でも、よく見ているとわかりますが、わざと人を傷つけたり、意地の悪いことをして笑いを取るような下品なことは絶対にしない。そこが多くの人から好かれている理由ではないでしょうか。インタビューなどの受け答えも真摯ですし、嫌いになる要素はほとんど見当たりません。格好をつけずに自然体に振る舞い、常に自分の仕事、やるべきことにキチンと向き合う姿には非常に好感が持てます。今年、東京ドラマアウォード2020の単発ドラマ部門で優秀賞を受賞したリモートドラマ『2020年 五月の恋』は、元妻を演じた吉田羊との二人芝居がとてもリアルで引き込まれました。そんな彼の誠実さが、きっと演技にも少なからず現れているのだと思います」
激動の1年となった2020年だが、その締めくくりにお茶の間を和ませてくれそうな大泉。ますます人気が国民的なものへと広がるかもしれない。(丸山ひろし)