つまりは、心のあるところには希望が生まれるということです。がんと闘うためには、まずしっかりした心を持たなければなりません。それは、どんな治療についても言えることです。
「生命在脚下」とは脚下照顧という言葉と同様に、足元をしっかり見ようということだと思います。がん患者さんは周りのいろんな情報に惑わされます。しかし、本当の答えは自分の足元にあるのです。それと共に、郭林新気功は歩く気功ですから、脚こそが大事だと説いているのでしょう。
私はこの言葉が気に入ったので、蘇州の寒山寺を訪れた際に釈性空老師に頼み、書にしたためてもらいました。それを病院の気功道場の入り口に掲げています。
これはがん患者さんだけでなく、ナイス・エイジングにとってもいい言葉ですね。足腰を大事に、心確かに希望を持って養生しましょう。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2021年1月15日号