その場がぱっと明るくなるようなイメージがある室井滋さん。「女優という仕事は向いてなかった」と意外な一言をポツリ。作家の林真理子さんとの対談でその理由を明かしました。
>>【対談1:米騒動は富山の“黒歴史”? 室井滋「出しゃばらない、我慢する」県民性】より続く
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林:このあいだの中園ミホさん脚本のドラマ「七人の秘書」も、高視聴率でよかったですね。
室井:ありがとうございます。コロナ禍で大丈夫かなと思いつつ、みんなドキドキしながら撮ってたんですけど、何とか無事に終わってよかったです。
林:最後にテレ朝から、豪華弁当の差し入れがあったんですって?
室井:はい、高視聴率だったので。でも、今の女優さんってみんな自己管理がしっかりしてて、「今日は食べちゃおうかな」というのがなくて、やってる間じゅう、テレ朝の上の食堂に行ってるのは私だけでした。差し入れのお弁当を食べて、なおかつ食堂に行ってた私は何なんですかね(笑)。
林:でも、若い女優さんたちも、室井さんと一緒にやれてうれしかったんじゃないですか。
室井:どうかなあ。私を見て「こういうところを見習おうかな」というのは、たぶんゼロだと思う。皆さんとてもきれいで、なんで女優になったかという成り立ちが、私はだいぶ違いますからね。
林:室井さんは、「自主映画の女王」と言われてたんですよね。
室井:向いてなかったですね、女優という仕事は。
林:ええ? そんなことないですよ。室井さんみたいに知的でコミカルな役ができる人って、今そんなにいないじゃないですか。
室井:そうですか? でも、本当は暗くてジメ~ッとした役をやりたいんですよ。だけど、楽しい役が来ちゃうでしょ。そうしてるうちに、マイナスなものとか、変だなと思うものが自分からどんどんなくなっていって、マイナスでドロドロしたものがイヤになってきたというか……。
林:それっていいことじゃないですか。
室井:でも、私たちの仕事って、マイナスでドロドロしたものがないとダメなんじゃないかと思うんですよ。そうしたものを嫌うようになっちゃった自分は、女優としてどうなのかなと思ってるところもあるんです。でも、現場が好きだし、絵本に出会ったのはほんとによかったなと思う。私、ナレーションの仕事が大好きなんですよ。たとえば「ファインディング・ドリー」のドリーの声も私がやってるんで。