親子3人が国会議員という石原ファミリーは、米国・ケネディ家と比較されるほどの名門だが、かつてない逆風にさらされている。ブランドカの低下を裏付けるように、安倍晋三首相の側近議員もこう話す。
「都内でも前知事である石原慎太郎さんの威光が相当落ちてきた。もともと自民党に愛情込めてモノ申すスタンスが受けてきた。ところが、維新に行って本気で自民に石を投げてきた。なのに、『慎太郎さんが言うなら維新に投票しよう』とはならない。同じスキャンダルにまみれながら勝った、2007年の知事選とは根本が違う。やっぱり母体が自民党じゃないとね」
維新がまとまらないことについても、慎太郎氏は「何にもわかってない」と愚痴っているのだという。維新の会は54人の衆院議員のうち、旧たちあがれ日本系14人、旧維新の会は40人。海千山千の旧たち日系と、若手の多い旧維新の会の議員団とでは肌合いが違う。そのため国会議員団の幹部会議は絶えず紛糾。慎太郎氏も入院前から徐々に足が遠のきがちになっていた。
「『大阪(=橋下徹共同代表)にはちゃんと伝えているのか』が、毎回出るフレーズです。言った言わないのレベルでいつももめにもめる」(維新幹部)
日銀総裁人事をめぐり、橋下氏と国会議員団との意見が食い違い、大もめになったときも、“石原抜き”の裁定となった。
「石原さんは病室から電話で『平沼君(赳夫副代表)に一任する』と言ってきただけ。『お見舞いは遠慮する』と言われたので、病室へ行った議員はほとんどいない。参院選後、引退するつもりじゃないかと囁かれています」(維新の国会議員)
※週刊朝日 2013年4月5日号