ちなみにたいていの会社では、理念や方針として、挑戦や新しいことに取り組む意欲が掲げられています。そうした会社のモットーを確認しておいて、「社長が『うちの会社は新しいことに対してあくなき挑戦をしてきた』と語っていますよね」といったように、反対意見に負けない方法も覚えておいてください。
「前例がない」の反対で、「過去に似たプロジェクトを実施して失敗した。だから反対である」という意見を掲げてくる人がいます。情報はとにかくたくさん知っていて、それに基づいてコメントする評論家のような人です。こうした人の登場は、仕事の意欲を下げることになります。
たとえば、若手社員が社内で新規事業を検討・起案したものの、審査委員から「過去に似た事例を検討して、そのときに無理と判断したから今回も難しい」と言ってきたり、なかには「山のように聞き飽きた提案ですね」と、起案した当人が気恥ずかしくなるようなコメントをしたりして、「もう二度と新規事業の起案なんてやるものか」とまで思わせる人がいます。
先に挙げた「前例がない」と言う上司以上に登場する場面が多いかもしれません。それだけ、似たものを探すことが得意な人が多いからです。社内情報がしっかりと残されているからこそ、このような発言がたくさん出るのでしょうが、こうした発言で提案した人のモチベーションが下がるのは残念で仕方ありません。
何をやるか、そしてそれが成功するかどうかは、「誰がやるか」で大きく変わります。そこで、今回の提案が「過去の似た事例と同じ」と判断されて本当にいいのか、そこを突いていきましょう。
社内で提案をされながらも「収益性が見えない」と実現できなかったプランが事業化され、結果成功した、というケースはたくさんあります。たとえば、リクルートの結婚情報誌『ゼクシィ』です。過去に同じような事業プランが何回も起案されていたので、「聞いても意味がない」と頭ごなしに否定されていた時期が長く続いたようですが、最終的に事業化されました。