■“御朱印マナー”に苦労

 手数料設定は「もっともだ」とした上で、宮内さんは言う。

「お賽銭以外にも、御朱印やお守りの初穂料で神社は硬貨を扱うことが多いんです。昨年の年末年始の1カ月間は、3万5046枚の硬貨が納められました」

 宗教法人には税金がかからない。お守りや御朱印も非課税で、受け取った硬貨は銀行に入れるまで手元に残る。負担を減らすべく、近隣のコンビニで釣り銭が不足した際は両替対応をするなど試行錯誤している。昨年4月には貼り紙も掲示した。

<お釣り歓迎!>。

 近年、玉敷神社でも御朱印を求める参拝客が増えた。だが、ほとんどの参拝客が「初穂料ちょうど」の硬貨を持参することが不思議だった。

「テレビやウェブでお釣りを出さないのが御朱印集めのマナーとして紹介されているようです。玉敷神社では硬貨がたくさんあるので、お釣りをお渡しできたほうがありがたい。神社ごとに事情は異なるため、貼り紙があるほうがわかりやすいという声もいただきました」(宮内さん)

 手数料化に加え、新型コロナウイルス感染対策から、電子決済を取り入れる神社も出始めた。秩父今宮神社の宮司で弁護士の塩谷崇之さんはこう提唱する。

「神社に奉納するお金の電子化に否定的な方もいるかもしれませんが、神様が現金そのものを喜ぶわけではありません。本来は収穫されたお米などを御神前にお供えしていたものが、貨幣経済にのみ込まれるなかで『初穂料』で代用するようになった。どうせ手数料がかかるなら、PayPayに払っても同じじゃないかという声もあります。信仰の在り方を考える時代になったのでは」

(編集部・福井しほ)

AERA 2021年1月25日号

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