一:日本人は、そばやラーメンはすすったほうがおいしいって言いますよね。
東:実際そうなんですよ。落語の「時そば」で、食べるしぐさをしますよね。独立したしぐさだけ要求されます?
一:されます。落語家っていうことで。でも、ただそこだけ上手だと言われてもうれしくないですね。
東:誇らしくない?
一:いきなり「謎かけしてください」と同じような感覚で頼まれる。そばをすするのは噺(はなし)の中で流れがあるからで、そこだけやってもたいしたことないんですよ。
東:やってくれって言う人は共感したいんだろうね。ああなるよね、と。
一:なるほど。そういえば、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」に、柳家小三治師匠が出たとき、スタジオで「そばを食べるしぐさをやってください」と司会者に言われて。師匠、絶対嫌がると思ったんですが、「そうかい」とやってみせたんです。落語家の間で衝撃が走った(笑)。あ、やるんだ、みたいな(笑)。
東:なんで(小三治師匠が)嫌がると思ったの?
一:落語家として「へぇ~」って言われる技は、他にもいくらでもあるのにな……というか……落語は話芸ですから。
東:話芸だから、すすり芸を見せるのは……嫌?
一:葛藤がありますね。
東:わかるな、うん。でも、大杯にお酒を注いで飲むしぐさも、見ると「あ~あの通りだな」って。芸だな、と思いますよ。
一:かなりオーバーにやっていると思うんですよね。リアルではない。
東:そうでしょうね。でもそれが面白いんですよ。
一:東海林さんはコロナが流行して、毎日の過ごし方やお仕事に変化はありましたか?
東:僕はぜんぜん変わらない。たしかに打ち合わせは少なくなりましたけどね。強いて挙げれば居酒屋に行けない。スーパーとかコンビニは行きますけど。
一:スーパーの袋が有料になりましたが、どうしています?
東:3円、5円払ってもらっています。ごみ出しにどうしても必要だから。
一:あれ、ないと不便。今まではスーパーでもらったのをためておいてごみ箱に付けたり、ごみ出しに使っていたりしたんですが、今はわざわざ取っ手のついているポリ袋を束で買っていますよ。
東:みんな、ごみどうしてるのかな?