2021年1月1日にオリンパスから独立し、新たに設立されたカメラメーカー「OMデジタルソリューションズ」は、どこへ向かうのか? カメラブランド「オリンパス」の今後は? 写真家・赤城耕一さんがCTO(最高技術責任者)、片岡摂哉さんに聞くインタビューの後編をお届けする。
<前編>カメラの「オリンパス」はどうなる? 写真家・赤城耕一が新会社幹部を直撃!から続く
これまでの映像事業部と比べて社員を約半分に削減
――ニュースリリースによると、先月1日にオリンパスはOMデジタルソリューションズを完全子会社として設立。同日に新会社の株式の95%をJIP(日本産業パートナーズ)が設立した持ち株会社(OJホールディングス)に譲渡しました。つまり、その持ち株会社が所有する新会社としてオリンパスから独立したというわけですね。
片岡 正確にいうと、そういうことになります。独立した会社ですので、映像事業を進めていくうえで必要なものはすべて備えています。開発、製造、営業。そのほか、これまで本社部門だった人事、総務、経理もあります。
社員数はこれまでの事業部と比べて約半分に減らしました。製造組み立てを行っているベトナム工場を含むグローバルの人数で約2000人。そのうち国内は約280人です。
ちなみに、これまでベトナム工場では大きく分けて、映像と医療の製品を作っていました。なので今回、新会社の子会社として映像ベトナム新社を設立しています。意思の疎通もスムーズになり、市場の動向に合わせて小回りのきく体制になりました。
映像事業というのはレンズがキモなので、光学設計者にはけっこう来てもらいました。ただし、開発部門全体では人数は減らしています。もちろんそれは、カメラ市場の縮小に対応して、という面もありますが、これからは外部連携によるものづくり、オープンイノベーションの時代だと思っています。もちろん、コアな技術や商品のポイント、そういったものはこれからも自分たちでしっかり開発していきます。
コロナ禍やカメラ市場の変動にも耐える事業体質をつくった
――あと、非常に聞きづらい質問なんですが、もし黒字化できなかった場合、JIPに売却されてしまうのでしょうか?
片岡 われわれはオリンパスから独立するときに、かなり会社の構造を軽くしています。現在のコロナ禍やカメラ市場の変動にも耐えられるような体制をつくっています。あまり無理のない計画に対して黒字になるような事業体質に変えています。ですから、それについてはご安心いただきたいと思います。
ただし、来期はいくら黒字になるんだ、とか。いくら赤字になったらどうなるんだとか、そういった具体的なことはいまお答えする状態にはありません。
われわれとしては、当然ですが、経費を抑え、そのうえできっちりと売り上げ、収支バランスを整え、黒字化する。そして黒字になったぶんを次に投資して、少しずつでも会社を成長させていきたい。それが基本姿勢ですね。