――今後のカメラ市場や消費者の動向の変化についてはどう考えていますか?

片岡 やはり、写真というものは、趣味として価値を持ち続けると思っています。そういった価値も人もなくならない。それを受け止めるのはスマホではなくて、やはりカメラだと思っています。

――新会社設立というのは非常に大きな転換点だと思うんですが、ここまでくれば、もうマイクロフォーサーズにこだわる必要はないんじゃないですか。

片岡 カメラ市場がほんとうに趣味層に支えられるようになると、製品はメジャーブランドと、その他に分かれていくと思います。そこで生き残る製品は、こういう写真が撮りたいという要求に対して、それに応えてくれるいちばんいいシステム。そういう意味では、われわれがマイクロフォーサーズに感じている価値、特徴をきちんと押さえて、お客様のニーズに応えて、生き残っていきたいと思っています。

 おかげさまで、2020年の国内市場における「レンズマウント別台数シェア」でマイクロフォーサーズはNo.1(※)を達成しました。マイクロフォーサーズシステムが必要とされている証だと思いますので、引き続きシステムの拡充をしていきたいと思っています。

※2020年1月12月のBCNランキングデータ(スペックカテゴリー:レンズ交換型)に基づく同社調べ。

――でも、マイクロフォーサーズのカメラ市場が小さくなると、半導体メーカーがセンサーを作ってくれなくなる、ということはありませんか?

片岡 こちらからオーダーして、開発費を出して、センサーを作ってもらう、という流れですから、その点については心配ないと思います。

「これを使えば撮影シーンが変わるよね」というレンズ開発

――マイクロフォーサーズならでは製品、フルサイズでは到底できないレンズがあると思うんですね。フォーサーズでF2通しの明るいレンズがありましたけれど、ああいう製品って、できないでしょうか?

片岡 やはり、これからカメラシステムを差別化していくのはレンズだと思うんです。というのも、ボディー単体のサイズだけで競っても、あまり差がつかない。というか、実際にはあまり意味がない。つまり、レンズが大きければ、ボディーが多少軽くて小さくても仕方ないわけです。そういう土俵の上で、マイクロフォーサーズだからこれができましたと、お客様に納得していただけるようなレンズを出していきたいですね。

――(目の前に置かれた新レンズを見ながら)そういう意味ではこの超望遠ズーム、M.ZUIKO DIGITAL ED 150-400mm F4.5 TC1.25x IS PROの小型軽量さは驚異的ですね。もちろん、写りもすごいんでしょう。

片岡 このレンズは機動性と高画質を両立し、手持ちでの超望遠撮影を可能にします。野鳥などの超望遠撮影における新たな価値を提供できると思っています。同様のコンセプトの製品ですと、高倍率ズームのM.ZUIKO DIGITAL ED 12-100mm F4.0 IS PROもあります。要するに、フルサイズでやろうとすると実現できない製品をつくっていく。すべてのレンズをそうするわけにはいきませんが、やはり、これを使えば撮影シーンが変わるよね、というところまで考えたレンズを企画していきたいと思うんです。

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新しいカメラやレンズは出るのか?