昨年8月29日の2軍戦に登板した日本ハムの吉田輝星(C)朝日新聞社
昨年8月29日の2軍戦に登板した日本ハムの吉田輝星(C)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 育成にたけている球団の筆頭格として、評価が高い球団が日本ハムだ。特に高卒で入団した選手の育成能力が高い。ダルビッシュ有(パドレス)は日本にとどまらずメジャーを代表する投手となり、中田翔も打点王を3度獲得するなど不動の4番に。大谷翔平(エンゼルス)を投手と打者の「二刀流」でプレーさせ、類いまれなスーパースターに育てたことは高く評価されてしかるべきだろう。

【写真特集】あの伝説のマネージャーも登場! 増刊『甲子園』の表紙を飾った美少女たち

 日本ハムは西武に次ぐ14人の主力が過去にフリーエージェント(FA)で流出している。片岡篤史、小笠原道大、森本稀哲、小谷野栄一、陽岱鋼、大野奨太、増井浩俊……。他球団とのマネーゲームには参戦せず、選手を育てて勝つスタイルを貫いてきた。

 実際に2006年からの4年間で3度のパ・リーグ優勝。06年オフに主軸の小笠原が巨人に移籍したが、翌07年に優勝した。一人の選手に依存しないチーム作りが強さの源だった。

「選手個々の育成ビジョンを明確にし、フロントと首脳陣が共有して育て上げる。例えば、ファームでは、選手によって『〇打席以上立たせる』、『〇イニング以上投げさせる』と野手は打席数、投手はイニング数を設定する。このメジャー式のシステムを導入したのは、日本球界で日本ハムが先駆けです。有望株の選手たちが順調に成長して主力選手になる姿を見て、他球団もこのメソッドをお手本にしていました」(スポーツ紙遊軍記者)

 ところが、近年はこの「育成の日本ハム」に陰りが見えている。15年以降のドラフトで入団した若手に伸び悩みが目立ち、レギュラー陣の高齢化が進んでいる。フォーカスされるのが清宮幸太郎だ。東京・早稲田実高で史上最多の高校通算111本塁打。高校生最多タイの7球団が競合した逸材は1年目に打率2割、7本塁打とまずまずのスタートを切ったが、その後は度重なる故障もあり、力を発揮できない。昨年は96試合出場で打率1割9分、7本塁打。同期入団で不動の四番に成長したヤクルト村上宗隆と大きく差をつけられた。

次のページ