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 先週末の夜、首都圏のとある繁華街。午後7時以降の酒類提供を続ける居酒屋の入り口には、サラリーマンや若者らの列ができていた。店内は客でぎっしり埋まり、酔って声のボリュームが上がる人たちも。10都府県への緊急事態宣言が延長された中、人々の自粛疲れが垣間見える。

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 5日金曜の午後7時半。千葉県の北西部にある繁華街では、ふらふらと街を歩く多くのサラリーマンや若者らの姿が見られた。時短要請に従いほとんどの店が午後7時で酒類の提供を終了する中、まだ飲み足りない、あるいはラストオーダーの時間に間に合わなかった人たちが店を探していた。

 黒いスーツをまとい、路上で呼び込みをしていたガールズバーの男性店員は語る。

「どこか遅くまで飲める居酒屋はないかと、もう20組くらいから聞かれました。サラリーマンっぽい人や、30歳くらいの女性たちだけのグループもいましたね。この格好なので、女性たちから話しかけられることなんてめったにないんですけど(笑)。ここ何日かでそういうお客さんが一気に増えました。みんないいかげん、自粛はうんざりなんじゃないですか」

 店員と話をしている最中も、スーツ姿の中年男性が近寄ってきた。

「空いてるとこ知らない? まだ一杯も飲んでないんだよ。仲間と手分けして探してるんだけどさ」

 さらに街を歩くと、入り口に人が数人並んでいる居酒屋に行きついた。80人以上が座れる広い店だが、安くてうまい「サラリーマン御用達」の店だけあって、コロナ前は平日でも席が埋まっていた人気店だ。列にいたカップルに話しかけると、21時ごろまで酒が注文できるのだという。

「外で飲むの久しぶりなんですよ。ずっと我慢してたけどランチ行っても店によっては混んでるから、なら夜も同じかなって。金曜だし、こんな時間に帰りたくないですよね」

 店内をのぞくと、ぎっしりと満席。酔って声のボリュームが上がり、ああだこうだと議論するサラリーマンや、盛り上がる若者たちがいた。店側も入り口を開けるなど換気に配慮はしており、マスク飲みをしている客もわずかにいたが、コロナ前のにぎやかさと、ほとんど同じだった。

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「ストレス発散の場所があるだけでうれしい」