米国発の音声SNS「クラブハウス」がここ最近、急速に人気を獲得している。起業家や芸能人らの参加も相次ぎ、盛り上がりを見せている。音声ならではの魅力や可能性、そしてアプリの課題とは。AERA 2021年2月15日号から。
【イーロン・マスクに河野太郎大臣も… クラブハウスの10日間を一気に振り返る!】
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「24時間クラブハウスをつけっぱなしにしていて、おかげで寝不足です」
音声配信サービス「Voicy(ボイシー)」CEOの緒方憲太郎さんは、“クラブハウサー”になってからの日々を振り返りこう続ける。
「スマホでは目が疲れるし、面白い話を声で聴きたいという人も多くいます。クラブハウスが話題になってから、ボイシーのユーザー数も毎日数パーセントずつ上がっています」
アマゾンとグーグルのスマートスピーカー開発やポッドキャストブームを受け、海外ではひと足早く音声の時代が到来。クラブハウスの熱狂は、音声市場への追い風にもなった。突然現れたように思えるが、熱狂の流れは必然ともいえる。
「テキストでは伝わらない、その人らしさや感情が声だと届く。クラブハウスで声の魅力に気付いた人は増えているので、日本でも音声メディアが普及すると思います」(緒方さん)
文字や写真では表現しきれないパーソナリティーを、音声がフォローする。ユーザーの魅力が異なる形で伝わるようになるだけに、言い換えれば「何者」なのかがすぐにわかってしまう人間味あふれるツールでもある。
創業者がつづったブログからも、その思いが垣間見える。
<最も大切にしているのは、声で人々を結びつけること>
<投稿するのではなく、他の人と集まって話ができる人間味のあるソーシャル体験を構築することが目標でした>
「声」に集中するためか、今やどのSNSにも実装されているコメント欄やDM機能、投稿を評価する「いいね」もクラブハウスには存在しない。どうしてもテキストのやり取りがしたいというユーザーは、プロフィルに連携させたツイッターかインスタグラムを経由してつながっているようだ。ネットサービス「ガイアックス」の重枝義樹ソーシャルメディアマーケティング事業部長は言う。