宇髄天元と「遊郭の鬼」は、その身に持っている才・「美しさ」と「強さ」だけで、この苦界を生き抜こうとしたという点において似ており、「因縁」が深い。戦いの舞台に「遊郭」が選ばれたのは、このような必然性に満ちている。なお、作中には、懸念されているような、遊廓のシステムの美化は一切ない。

「遊廓編」のプロモーションビデオの「派手だろ?」という決めゼリフを幕開けに、業のうずまく暗い夜の闇を、音柱・宇髄天元がド派手に切りひらいていく。彼の華やかな戦いぶりと言動が、ともに戦う者たちと、それを見ているわれわれの気持ちを奮い立たせてくれる。アニメの公開が待ち遠しい。

◎植朗子(うえ・あきこ)
1977年生まれ。現在、神戸大学国際文化学研究推進センター研究員。専門は伝承文学、神話学、比較民俗学。著書に『「ドイツ伝説集」のコスモロジー ―配列・エレメント・モティーフ―』、共著に『「神話」を近現代に問う』、『はじまりが見える世界の神話』がある。

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