Tempalay、移籍発表後初&ホール公演初のワンマンよりライブレポート到着
Tempalay、移籍発表後初&ホール公演初のワンマンよりライブレポート到着
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 2月26日、Tempalayが【Tempalay Live 2021】を中野サンプラザで開催した。この日はワーナー内レーベルunBORDEへの移籍発表後の初ワンマンで、ホールでの単独公演も彼らにとっては初めて。多彩な照明演出とともに、サイケデリックな空間を作り上げた。

 1970年の大阪万博のテーマソングである「世界の国からこんにちは」がSEとして延々流れる中、開演予定時刻の18時を過ぎると場内が暗転。スネアのロールに導かれ、ショーの始まりを告げるかのようなファンファーレとともに幕が上がると、一曲目からクライマックス感のある「おつかれ、平成」でライブがスタート。メロディアスな楽曲ながら、最後の轟音パートに突入すると、「Tempalayのライブに来た」という気分が高まる。

 その後はアッパーな曲を連発し、「のめりこめ、震えろ。」では間奏で小原綾斗がステップを踏みながらノイズギターをかき鳴らし、「SONIC WAVE」ではコーラスパートでAAAMYYYが右手を突き上げてオーディエンスを煽り、ファンキーな「Austin Town」と続けて行く。

 会場が中野サンプラザということで、爆風スランプの「大きな玉ねぎの下で」が流れる中、John Natsukiがお馴染みのサンプラーを用いた挨拶をするというシュールな一幕に続いて披露されたのは、移籍第一弾として配信された「EDEN」。ミニマルなループのリズムが小気味いい前半から一転、「Seven Nation Army」のような太いギターリフとともに、豪快なロックドラムへと切り替わる曲展開は、やはりライブでのカタルシス十分だ。

 インストの「未知との遭遇」からシームレスに繋いだ「my name is GREENMAN」も序盤のダビーな雰囲気から途中でジャズファンクへと変化し、ラストに置かれたストロボがたかれる中での轟音パートはかなりサイケデリック。バンドのポップサイドを象徴する「どうしよう」を挟んで、ライブ中盤では「Festival」、「革命前夜」と初期の曲を続けると、ダンサブルな「新世代」でこの日最初のピークを作り上げた。

 MCでは「初のホールとはいえこんな状況なので、さほどテンションは上がっていない」と飄々と語り、「今日は岡本太郎の110歳の誕生日だそうです。彼がゾンビになって歩いているかもしれません」とファンを公言する岡本太郎について話すと、こちらも初期曲の「ZOMBIE-SONG」を披露。音源ではビートボクサーのREATMOをフィーチャーしていたように、軽快なヒップホップビートが心地よく、さらにはAAAMYYYのラップとコール&レスポンスが楽しい「テレパシー」を続け、ライブ後半はよりディープなゾーンに入っていく。

 ゆったりとした「深海より」からモンドな雰囲気の「カンガルーも考えている」へと続き、ラストの轟音が鳴り響くと、そのまま続編とも言うべき新曲の「フクロネズミも考えていた」へ。この曲はTempalayとしては初めてのAAAMYYYとJohn Natsukiによる共作曲で、「カンガルーも考えている」のムードを引き継ぎつつ、変調されたピアノやシーケンスでバンドの新たな一面を示している。二胡の旋律に導かれる「大東京万博」はすでにクラシックの風格を持ち、オーディエンスをSF的な「ここではないどこか」へと連れ去った。

 最後のMCではアルバムのリリースとそれに伴う全国ツアーの告知をしながら、「『重大発表』はいつもこんな感じで、解散とか休止はないので騙されないでください」「アンコールほどいかがわしいものはない。大体物販のTシャツを着て出てくる」と、最後まで飄々と話し、「初ホールと岡本太郎に感謝。ありがとうございました」と挨拶。おどろおどろしさの中の美しさが際立つ「美しい」と「そなちね」を続け、最後は「Last Dance」で文字通りの芸術的爆発を見せると、ギターのフィードバックノイズが鳴り響く中でライブは終了。平熱と恍惚が波のように繰り返されるこの世界から、簡単には抜け出せそうにない。

文 :金子厚武
写真:鳥居洋介

◎セットリスト
01.おつかれ、平成
02.のめりこめ、震えろ。
03.SONIC WAVE
04.Austin Town
05.EDEN
06.未知との遭遇?my name is GREENMAN
07.どうしよう
08.Festival
09.革命前夜
10.新世代
11.ZOMBIE-SONG
12.テレパシー
13.深海より
14.カンガルーも考えている
15.フクロネズミも考えていた
16.大東京万博
17.美しい
18.そなちね
19.Last Dance