(図表1)エンディングノートの一例/三井住友信託銀行・おひとりさま信託「未来の縁-ingノート」から抜粋
(図表1)エンディングノートの一例/三井住友信託銀行・おひとりさま信託「未来の縁-ingノート」から抜粋
三井住友信託銀行 財務コンサルタント 黒沢克美さん
三井住友信託銀行 財務コンサルタント 黒沢克美さん
(図表2)死後事務のポイント/具体例とポイントを列記した。早めに知っておくと、あわてなくてすむ
(図表2)死後事務のポイント/具体例とポイントを列記した。早めに知っておくと、あわてなくてすむ

「終活」という言葉が生まれてから10年あまり。終活をテーマにした書籍の発行やセミナーの開催などが頻繁にみられるようになり、今日の超高齢社会に定着した感がある。

【一覧表】高齢になってから知るのでは遅い!死後事務はこんなにある

 現在発売中の週刊朝日MOOK『定年後からのお金と暮らし2021』では、あらためて終活のポイントを取材した。一緒にみてみよう。

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 終活とは、端的にいえば自らの老いや死に備えることである。自分の明確な意思、判断能力があるうちに、万一のときのための医療・介護のあり方や財産処分の方法、葬儀・埋葬をはじめとした死後の手続きなどを準備しておくことだ。

■本人の意思が大事、終活を始めるなら今

 終活のメリットは、自分の望むかたちで人生の幕引きができるということ。あらかじめ自分で“最期”の迎え方を選び、信頼できる人にその後のことを託せれば、老いや死へ向かうことの不安が軽減され、安心感が得られるというわけである。
 
 では、終活はいつから始めるのがよいのだろうか。結論から言えば、高齢になってからでは遅い。その理由は主に三つある。

 一つめは終活には相応の時間と手間がかかるということ。元気なうちでないとそこに労力を費やすことができなくなる。

 二つめは、本人の明確な意思、判断能力が必要であること。認知症のように意思や判断能力があいまいになると、自分の思い通りの治療や相続が実現できない可能性が高くなる。

 三つめは、人の死はいつ訪れるのか分からないということ。「いつかはやろう」と思いつつ手を付けないまま死亡すると、遺された人たちにかかる負担が大きくなる。

「『もしも明日、自分に何かあったら』と気になったときが終活を始めるタイミングだと思います。定年退職のような人生の節目にスタートする人も多いですね」と、三井住友信託銀行の財務コンサルタント・黒沢克美さんは言う。
 
■自分にできない死後事務は、信じて託せる人が不可欠

 まずはエンディングノートの作成から始めてみよう(図表1)。

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