山田美保子・放送作家、コラムニスト
この記事の写真をすべて見る
お弁当ポータルサイト『くるめし弁当』は、約550店舗1万3400種類のお弁当を掲載する、日本最大級の宅配弁当予約サイト。写真右下「とんかつ まい泉 いろいろ弁当」(850円)、同左上「ぎん香 さば・壺焼きどり弁当」(1000円、各税込み)。公式サイト(https://www.kurumesi-bentou.com/)や電話で注文可能。

 放送作家でコラムニストの山田美保子氏が楽屋の流行(はや)りモノを紹介する。今回は、『くるめし弁当』について。

【写真】スタジオのお弁当手配で大活躍! 種類豊富な『くるめし弁当』とは?

*  *  *

 テレビ局のロケ弁に異変が起きている。いや、正確には「スタジオ弁当」に、である。

 簡単に説明させていただくと、ロケに出る際、ロケバスに積んで持っていくのがロケ弁で、番組収録時、出演者に配られるのがスタジオ弁当だ。

 予算が潤沢だった頃は、スタッフにも同じ弁当が配布されたものだが、局によっては、かなり前に廃止されてしまった。それもADさんからカットした鬼のようなテレビ局がある。彼らはスタジオ弁当で食いつないでいるようなものなのに……と、ずいぶん奢ってあげた記憶がある。ちなみに、ロケ弁の括りには「編集めし」も入る。ロケや収録後の長い長い編集作業の際に食べるので、ここではADさんもありつける。

 よく情報番組などでタレントに人気のロケ弁がランキング形式で紹介されることがあるが、それらはスタジオ弁当のこと。当ページでも「浅草今半」や「欧風カレー オーベルジーヌ」「喜山飯店」などを取り上げてきた。発注は、主に番組デスクが直接、個々の店舗に電話で連絡。週イチの番組ならば、5~6店のローテーションでもさほど問題はない。

 が、これが帯番組となると、そうはいくまい。そんな現場で最近よく見かけるのが『くるめし弁当』の箸袋だ。首都圏や関西エリア、愛知、福岡など、つまりはキー局や準キー局に配達可能な約550店舗、1万3400種類。300~4000円の弁当を取り揃えている。

 だから、あらゆる局を飛び回っていて、スタジオ弁当に慣れ親しんでいる売れっ子タレントだったとしても、「これ、初めて食べる」「こんな店も宅配してくれるんだ」と驚くし、当然、飽きがくることもないのである。

 サイトには人気ランキングもあるうえ、弁当の画像はもちろん、店舗名よりもメニューや中身が大きく記されているので、注文に慣れていない新人でも失敗がないし、ワンパターンになりにくい。

 もちろん、もともと大人気の「まい泉」や前述の「オーベルジーヌ」、人気急上昇の「ぎん香」「塚田農場」「東京海苔弁のり助」なども揃い、おにぎりやサンドイッチなどの朝食や軽食向きのメニューもある。テレビ局だけでなく、コロナ禍に「お弁当手配でお困りの方へ」とシチュエーション別の問い合わせ窓口も設けられた。『くるめし弁当』至れり尽くせりだ。

山田美保子(やまだ・みほこ)/1957年生まれ。放送作家。コラムニスト。「踊る!さんま御殿!!」などテレビ番組の構成や雑誌の連載多数。TBS系「サンデー・ジャポン」などのコメンテーターやマーケティングアドバイザーも務める

週刊朝日  2021年3月12日号

[AERA最新号はこちら]