「R-1」昨年の覇者マヂカルラブリーの野田クリスタルは今年審査員に(C)朝日新聞社
「R-1」昨年の覇者マヂカルラブリーの野田クリスタルは今年審査員に(C)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る

 お笑い界の三大コンテストと言えば、漫才の『M-1グランプリ』、コントの『キングオブコント』、ピン芸の『R-1グランプリ』である。

【写真】くりぃむ上田に「天才」と言われながら25年間パッとしなかったのはこの人!

 その中でも『R-1』は、ほかの2つに比べるとやや地味な印象がある。これらのコンテストでは、全国規模で大規模な予選が行われ、数千組の芸人が参加して、決勝の模様はゴールデンタイムに生放送される。

 大会の基本的な仕組みは同じなのだが、2人以上で演じる漫才やコントに比べると、1人でネタをやるピン芸はどうしても派手さに欠ける。

 また、ピン芸はそれぞれやっていることがバラバラなので、はっきりした優劣をつけるのも難しい。過去の『R-1』では、ハリウッドザコシショウやアキラ100%など、人によって好みが分かれる「ハダカ芸」の人が優勝したこともある。満場一致のチャンピオンが生まれにくいので、どうしても大会として盛り上がりに欠けると思われやすい。

 そこで、2021年の『R-1』では大幅なリニューアルが行われた。最も重要な変更点は、プロの芸人の出場資格が「芸歴制限なし」から「芸歴10年以内」に変わったことだ。このルール変更により、芸歴10年以上の芸人は事実上「リストラ」されてしまうことになった。

 芸歴の長い芸人は確かな実力がある人が多いため、これまではファイナリストの多くをそのようなキャリア組が占めていた。大会全体の雰囲気を一新するために、運営側はあえて非情な決断を下したのだろう。

 それ以外にも変更点は多い。大会の名称が『R-1ぐらんぷり』から『R-1グランプリ』に改められ、司会が蛍原徹と三田友梨佳アナから霜降り明星の2人と広瀬アリスに変わった。さらに、若手ヒップホップユニット・Creepy Nutsの新曲『バレる!』が新たに大会のテーマソングとして使われることになった。

 決勝の審査方法も、1組がネタを終えるごとに審査員が点数を発表していくという『M-1』や『キングオブコント』と同じシステムに切り替えられた。

 これらの改革の狙いは、『R-1』のイメージを一新して、大会を今まで以上に盛り上がるものにしたい、ということだろう。

次のページ
今年の「R-1」はいい意味でこだわりをなくした