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 子育てをしていて、YouTubeに”お世話になる”場面もあると思います。「好きな時間に好きなものを観れる」というインターネットの便利さは、子育て世代のニーズにマッチします。
 
 子供自身が「YouTubeをやってみたい」「YouTuberになりたい」と願う場合もあると思います。子供をYouTubeに出演させることの影響は多々ありますが、たくさん再生されなければ起こらない問題なので、大抵の人にとっては関係のない話だと思います。YouTubeに出ることに不安や懸念を抱く人は少なくありませんが、それ以上にまず再生されないので、杞憂に終わることが多いです。その上で、今回は実体験から、子供をYouTubeに出演させることの影響について解説します。

 私の息子は2歳から8歳までの6年間、YouTubeの動画に登場していました。お出かけや寸劇や虫取り、自然遊びや生き物観察の動画を投稿し、登録者は200万人を超え、動画は10億回以上再生されました。しかしながら、去年の6月に演者としては引退しました。引退させたのは、大手のキッズ系YouTuberとしては非常に珍しいケースです。メインの演者が引退すると、再生回数が落ちるためです。

 引退については、2年ほど前から考えていました。後を継ぐ演者を子役やモデルの中から選出しようと、試行錯誤もしましたが、結果的に、アニメのキャラクターが引き継ぐことになり、実写の私たちは引退しました。ここまでして引退した理由は、演者の加齢によるチャンネルの存続性もありますが、息子にとっての影響を考慮したからです。

 子供をYouTubeに出演させることについては、賛否両論です。見知らぬ人にあだ名や顔が知られることのリスク、インターネットに動画が残ることのリスク、撮影に時間が取られることなどの問題があるからです。実際には、演者にファンをつけず、動画にファンをつける運営をしていたので、街で声をかけられることもほとんどなく、自分から言わなければYouTuberであるとは気づかれない生活でした。撮影時間も、私のチャンネルは過去動画が再生されるので、新作の投稿頻度は重要ではなく、月に1、2本の撮影で、子供の時間的な負担も非常に少なかったです。私たちにとっては、これらの物理的・環境的な問題よりも、心理的な問題の方が重大でした。

 息子には、チャンネルの登録者数や再生回数などは伝えていませんでした。しかし、金の再生ボタン(登録者100万人の証)が届いたりしたので、大手のYouTuberだと自覚していたようでした。「僕はYouTuberだよ」と自己紹介して友達を作ることもあり、友達や周りの人にチヤホヤされることも多かったようです。この状況が息子には悪影響だと考えました。

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