2011年3月11日に発生した東日本大震災から10年という節目に各メディアではいろいろな角度からその後を報じている。震災後、福島を何度も訪れたお笑い芸人カンニング竹山さんは、震災から10年の報じられ方に、ある悔しさを抱いている。
【写真】水素爆発を起こし屋根や壁が吹き飛んだままの東京電力福島第一原発の原子炉建屋
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東日本大震災から10年たつということで、僕もテレビの特番などに出させてもらっていますが、10年間という区切りがいい悪いではなくて、あれから10年たってしまったんだなという人間が感じる節目というのはあるかないかといえば、ある。しかし、複雑なところもあって、10年だからというだけの報道の仕方がちょっと気持ち悪い。
もちろん、しっかり過去を振り返るというのは大事なところ。津波の映像とかを出すことに賛否はありますけど、予期せぬこんなに恐ろしいことが起きたということは、昔と違ってきちんと記録映像が残っているからそれはそれで隠すというのはいけないと思う。戒めるということにもなるし。
一連のあれから10年の報道を見ていて、どうしてもちょっと納得いかないのが、どこのテレビ局も現状をマイナスの方面からしか伝えていない。特に福島に関してで、福島を報じるのは東京電力福島第一原子力発電所の今。
現状はもちろんきちんと伝えていると思うんですよね。どうしてそうなるのか、原発の現状はまだどうしようもないから。もちろん、少しずつは変わりましたけど、燃料棒を取り出したりとか、放射線量やセシウムを抑え込んだりとか。
根本的なこととしてデブリを掃除できていなかったりだとかは、今の人間が持っている技術ではやりきれないところで、しょうがないといってしまったら怒られるかもしれないけれども何十年もかけてやっていくしかない。このコラムでも語ったことがあるけど人間の技術が進化するしかないんですよね。
そういった原発の現状で福島の今を伝えるのだけで終わりになっていて、原発周辺から避難した人たちもたくさんいるけど福島に残って普通に笑顔で元気に暮らしている方たちもいることを報じないのが、個人的にとても悔しい。