いつもなら「解禁日」の就活は、スーツ姿のフレッシュな学生の姿が目立つが、今年はコロナ禍。会場側も密を避ける対策に余念がない/3月1日、千葉県の就活セミナー会場で (c)朝日新聞社
いつもなら「解禁日」の就活は、スーツ姿のフレッシュな学生の姿が目立つが、今年はコロナ禍。会場側も密を避ける対策に余念がない/3月1日、千葉県の就活セミナー会場で (c)朝日新聞社
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AERA 2021年3月15日号より
AERA 2021年3月15日号より

「足で稼ぐ」が通用しなくなったコロナ禍の就活戦線では、「耳を澄ます」も好手だ。3月1日に“就活解禁”となったが、音声SNSの上陸で様相が変わってきた。AERA2021年3月15日号の記事を紹介する。

【クラブハウスを就活で活用するために気をつけたいことはこちら】

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 リクルートスーツに身を包み、企業ブースにひしめく学生たち。そんな定番の就活像に変化の兆しが見えている。

「業界の最前線で働く人の話が無料で聴ける最強ツールです」

 関西の私立大学に通う男子学生(21)は、興奮気味にそう話す。最強ツールとは、一躍ブームとなった音声SNS「Clubhouse(クラブハウス)」。2月中旬にクラブハウスに参加して以来、「ルーム」と呼ばれる様々な部屋に入り浸っている。

「地方に住んでいると、企業のトップや現役社員の話を聞く機会はほとんどない。気になる業界の人をフォローして、その人が参加する部屋を覗けば業界研究ができるんです」(男子学生)

■自宅のソファから就活

スタートアップの起業家を中心に広がったこともあり、クラブハウスではビジネスに関わるルームが目立つ。「自動車業界ぶっちゃけ」「出版の未来」などの名前の部屋が日夜開かれ、現役社員や元業界人を名乗る人物らがスピーカーとして軽快なトークを繰り広げる。企業公式の採用説明会やセミナーでは得られない「生感」があるという。

 クラブハウスが日本で突如話題になって、1カ月。その熱狂ぶりは注目されるものの、まだ得体が知れないと様子見する企業も多い。そうしたなかで、サイバーエージェントやGMOペパボなどの大手IT企業はすでに企業名を冠してルームを開催。さながら合同説明会のように、就活生との接点を増やしている。

 画面上段には人事担当者や若手社員などの企業関係者のアイコンが並び、スピーカーとして仕事のやりがいや面白さをリスナーに語り掛ける。画面中段に「Followed by the speakers」として表示されるリスナーは、登壇する社員を見守る上司や同僚、業界関係者という位置づけだ。ルームはいわば企業ブース。学生が挙手機能を使って質問できるのも、説明会と同じ仕組みといえる。

 対面型との「違い」は、学生側の手軽さだろう。

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