一方、東電はデブリを取り出す理由を「形状も状態もわからないデブリを建屋内にとどめることのほうがリスク」(広報部)とし、10年単位で時間がかかろうと全量取り出しを進める方針だ。そうなれば、実現可能かわからない計画に膨大な国費が投じられることになる。
筒井氏は、一度決めたことが変わらないシステムが問題だと指摘する。
「デブリの取り出しが困難でも、計画を組み直す体制が行政や政府にない。いまのままでは廃炉作業がスケジュールどおりにいかないことをみんなわかっていながら、誰も責任を取らない形で突き進んでしまっています」
遠回りをしないためにも、いまこそ政治的な決断が必要だ。
※週刊朝日 2021年3月19日号