満島:「セリフは原作どおり」ということをタテに、やりたい放題です(笑)。江戸川乱歩が書く文章がおもしろくって、私たちがどんなに暴れても作品になっちゃうんですよ。乱歩さんはすごいんだなと感動します。文学の力を信じているメンバーが集まってやれてるのも良いです。
林:江戸川乱歩賞はいまだにあるし、乱歩ファンもいっぱいいるしね。そして今回また新しいシリーズが始まるんですね(NHK BSプレミアムで3月23日から3夜連続)。今回は「少年探偵団シリーズ」として、乱歩が子どもたちに向けて書いた人気連作を映像化されるんですね。
満島:そうなんです。江戸川乱歩の描く物語自体はとても妖艶で色っぽくて、ある意味ではバカバカしくて子どもっぽかったりもします。セリフは原作に忠実にしながらも、芝居は「終わりはここに着地してほしい」ということだけを監督から指示されて、あとはアドリブでみんなをかき乱していくようなチャレンジのある現場です。
林:台本は江戸川乱歩の原作に忠実なんですか。
満島:そうなんです。一言一句まったく変えてないんです。小説の文体でお芝居するってけっこう大変で、役者さんはみんなそれに苦しんでますね。
林:なんか不思議なセリフを言うなあと思ってたけど、そういうことなんですね。前に菅田将暉さんが出てる回も見ましたが、いろんな方が出演されてるんですよね。
満島:そうなんです。柔道の篠原(信一)さんとか、一回もお芝居をしたことがない方が相手役でよく出てくるんです。このシリーズはそれがおもしろくて。林さん、今度このシリーズにぜひ出演してください。
林:えっ。私ね、NHKの朝ドラに1回出たことがあるんですけど、自慢じゃないけど、2行以上のセリフが覚えられないんですよ。
満島:いいです、いいです。セリフがないのに目立つという役をご用意します(笑)。
林:想像できますよ。殺される金貸しのオバサンの役とか(笑)。
満島:アハハハ。
(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)
満島ひかり(みつしま・ひかり)/1985年、鹿児島県生まれ、沖縄県育ち。97年、沖縄アクターズスクール出身の音楽グループ・Folderのメンバーでデビュー。同年公開の「モスラ2 海底の大決戦」で映画デビュー。2009年に主演した映画「愛のむきだし」で鮮烈なインパクトを残し、これまでに数多くの賞を受賞。俳優業にとどまらず、朗読やナレーション、音楽、執筆の活動もする。NHK BSプレミアムで放送の、シリーズ江戸川乱歩短編集IV「新!少年探偵団」が3月23日から3夜連続放送。
※週刊朝日 2021年4月2日号より抜粋
>>【対談2:満島ひかり「長期戦でコメディエンヌを目指してます(笑)」黒柳徹子の一言】へ続く
こちらの記事もおすすめ 満島ひかり「長期戦でコメディエンヌを目指してます(笑)」黒柳徹子の一言