監督 クロエ・ジャオ/26日からTOHOシネマズ日比谷ほか全国公開/108分 (c) 2020 20th Century Studios. All rights reserved.
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 来月25日に発表されるアカデミー賞の最有力候補「ノマドランド」。作品賞、監督賞を含む6部門にノミネート。主演のマクドーマンドが「ファーゴ」「スリー・ビルボード」に続いて3度目の主演女優賞を手にするか、大いに期待がかかる。

映画「ノマドランド」の場面カットはこちら

 企業の破たんと共に、仕事も住み慣れたネバダ州の住居も失った60代のファーン(フランシス・マクドーマンド)は、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで旅立つ。岩山を抜け、広大な荒野を走り、夜は車の中で眠る。現代のノマド(遊牧民)としての新しい生き方を探すのだ。

 デザート・ローズへやって来たファーンは、生活費を稼ぐためにAmazon配送センターで短期の仕事に就く。車上生活にも慣れてきた彼女は、車に引き出しやカウンターを作ったりして、使い勝手の良い空間に変える。そして、その日その日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちとの心の交流を重ねていく。そんなときトラブルが起こる──。

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)
評価:★★★★
60歳を過ぎ、車上生活者になった女性がアメリカの目を見張る美しさの大地にすっくと立つ。そんな姿を演じるマクドーマンドに見とれた。彼女が収入を得る場所がAmazonの集荷作業場というのがいかにも現代の遊牧民。

■大場正明(映画評論家)
評価:★★★★
マクドーマンドが実在のノマドのコミュニティに完全に溶け込み、劇映画とドキュメンタリーが融合した世界に深く引き込まれる。美しくも過酷な大自然を背景に、アメリカ人の価値観や生き方が根本から問い直されていく。

■LiLiCo(映画コメンテーター)
評価:★★★★
素晴らしい人生の映画。車中生活経験者として深く心に沁みました。特に途中で出会うスワンキーの話に感動。人生の振り返りが美しくて、私も身近なものに心を向けると決心。観に行くだけで人生を変えられる強い一本。

■わたなべりんたろう(映画ライター)
評価:★★★★
資本主義の終焉を強く感じさせる。悲観的になりそうな内容をユーモアとペーソスですくい上げ、感傷的になりすぎない余白を残した編集が強く心に残る。中国出身の監督が描くアメリカの景観に今までと違う趣あり。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2021年4月2日号