鞘師里保(さやし・りほ)さん(提供写真)
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 モーニング娘。の人気絶頂期に「卒業」を決断し、海外に留学した鞘師里保さん。留学を経て、TOEICで820点をとるほどの英語力を身に着けた。現在発売中の『AERA English 2021 Spring & Summer』(朝日新聞出版)で、鞘師さんが留学と英語学習の苦労について語ってくれた。

【写真】モーニング娘。時代の鞘師里保さん

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 圧倒的なパフォーマンススキルで「モーニング娘。の絶対的エース」と呼ばれた鞘師里保さん。2015年に電撃卒業を発表し、「海外で英語とダンスを学びたい」と鮮やかに日本を飛び立った。……と言えばカッコイイけれど、当時まだ17歳、周囲はかなり心配したそうだ。しかも中学時代は学業より仕事優先。英語の成績は「コンプレックス以外の何ものでもないレベル」だった。なのに、なぜ突然留学?

「14年のニューヨーク公演のとき、ライブ後の握手会があったんです。皆さん簡単な英語で話してくださったのに“Thank you.”程度の言葉しか返せない自分が情けなくて、英語で思いを伝えられるようになりたいって真剣に考えました」

 でも、それだけではなかった。鞘師さんが「今後の生き方」を考えた時期ともちょうど重なっていた。

「17歳になったころ、自分にはもっと経験すべきことがあるんじゃないかって考え始めたんです。『いまの自分のままで大人になるのはイヤだ』。そんな気持ちが爆発して、環境ごと変えたくなりました」

■英語もダンスも100%真剣に学ぶ

 名ばかりの留学にはしたくなかった。語学もダンスも100%真剣に学びたい。そのため最初に語学学校で確かな英語力を身につけ、そのあとでダンススクールに通う。あえて時期を分けることにした。結果的にその選択は大成功だったと、鞘師さんは言う。

「英語を話せなくても、ダンスを学ぶことはできたと思うんです。でも『私は英語を学んできた』という自信は、ダンススクールに通い始めたときの『お守り』になりました。いままで踊ったことのないジャンルのダンスを学ぶときも、『どうやって動くの?』と細かく英語で質問できたので、ダンススキルを高めることに役立ったと思います」

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留学当初ぶつかった「壁」