「東京03」のコントは、“究極のリアル系コント”と呼ばれている。日常のありふれたシチュエーションの中の些細な出来事に潜むおかしさにフォーカスしている。

「僕がコントで演じる役も、器の小さい男が多いので、お芝居としては入りやすかったですけど、坂元(裕二)先生の脚本は、会話のやり取りが、おしゃれ面白い(笑)。今回は会話劇なので、おしゃれ面白い会話のラリーまで繰り広げられる。この間は、僕のリアクションの演技に監督から、『ちょっとやりすぎですね』とイエローカードを出されてしまいました(笑)。まだまだおっかなびっくり、役のニュアンスを探っている最中です」

 華やかな世界を目指して頑張ってきたわけではないので、ドラマの待ち時間はいまだにドキドキしっぱなしだとか。

「ただ、松さんは気さくな方なので、最近は自然に雑談もできるようになりました。僕が花粉症で、鼻をぐずぐずさせていたら、『ツボのわかるアプリを持っているから、鼻炎に効くツボ、教えましょうか?』なんて、優しいんです。あ、でも『やる気の出るツボ、ありますよ』と言われたときは、『僕はやる気がないと思われてるのか?』と(笑)」

 自分が役者であるという自覚はない。俳優のオファーを受けるのも、一人でも多くの人に「東京03」を知ってもらえるようになりたいとの思いからだ。角田さんの活動のベースはあくまで「東京03」。しかも、「お笑いライブをやることで芸人として食べていけるようになりたい」というのが、最初の頃に抱いた夢。全ての活動を、あくまでライブに還元したいと、3人が3人とも思っている。(菊地陽子 構成/長沢明)

角田晃広(かくた・あきひろ)/1973年生まれ。東京都出身。お笑いトリオ「東京03」のメンバーとして、数々の番組やライブで活躍。フジテレビ系「ノンストップ!」、BSフジ「東京03 in UNDERDOGS」、NHKラジオ第1「東京03の好きにさせるかッ!」などにレギュラー出演。「東京03」のコントは、オフィシャルYouTubeチャンネルでも公開。今年も第23回「東京03」単独公演「ヤな因果」の開催が決定している。

週刊朝日  2021年4月23日号

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