南米チリのTV局Megaの番組『Mi Barrio』で、2021年4月11日に放送されたコントが人種差別的で排斥主義的だったとしてネットで炎上したことを受け、局が謝罪文を発表した。
このコントでは、新型コロナウイルス感染症をネタに、BTS風の格好をした5人のコメディアンが、“Kim Jong Uno”(キム・ジョン・ウノ)、“Kim Jong Dos”(キム・ジョン・ドス)などと名乗り、韓国語を揶揄するようなアクセントで話しながらワクチンを受けたり、アジア人や新型コロナに関する不適切なジョークを言ったりしていた。
放送後にBTSのA.R.M.Y.がこぞってネットで反発し、#ElRacismoNoEsComedia(人種差別はコメディーではない)というハッシュタグを拡散させた。13日に局が出した声明の英訳には、「番組“Mi Barrio”で放送されたコントの結果、この週末に勃発した論争について、Megamediaとして述べさせていただきたいのは、我々が経験しているパンデミックの大変な瞬間に対処する際に、多くの人はユーモアに助けられるということです」と記載されている。
局では放送できるユーモアの種類について“明確に制定された”基準があるとした上で、「“El Late De Raquel”のコントで影響を受けたかもしれない方々への完全な共感を示させていただいた上で、適切に謝罪させていただきます。どのコミュニティーの気分を害したり、侮辱したり、傷つける意図は全くありませんでした」と続けている。声明は、局が今後も“改善し、学び、耳を傾け続けていく”とした上で、プログラム編成を改良するために肯定的な意見と否定的な意見の両方を吸収していくと締めくくられている。
BTSについては、今年2月末にドイツ・バイエルンでオンエアされたラジオ番組で、DJがグループを新型コロナに例えたり、彼らがコールドプレイの「Fix You」をカヴァーしたことを北朝鮮を持ち出して揶揄したことがファンやアーティスト仲間から批判されたばかりだ。
BTSは、Megaの番組や謝罪について現時点で公式な声明は出していないが、3月末には米国で起きている反アジア系暴力や憎悪を非難する声明を発表している。グループだけに焦点が当たらないよう配慮しつつ、声明では「アジア人として差別を受けた」瞬間を強調しており、「理由もなく暴言を吐かれたり、容姿を嘲笑されたり」、「アジア人なのになぜ英語を話すのか質問された」ことが綴られていた。米国で急増している反アジア系の人々に対する暴力行為に比べれば、「自分たちの経験は取るに足らないもの」だとしながらも、これらの人種差別は「自分たちを無力であると感じさせ、自尊心を破壊するのに十分だった」と強調した。