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米国のバイデン大統領との首脳会談を無事、終えて帰国したものの、菅義偉首相を待ち受けるのは、いばらの道だ。
大阪府では4月18日、新たに1220人の新型コロナウイルス感染者が確認され、過去最多を更新した。1日の感染者数が1000人を上回るのは6日連続となる。政府関係者がこう話す。
「今回の菅首相の訪米でコロナ対策へ弊害が出ています。本来であれば大阪についてはもっと早く緊急事態宣言を決断、再発出すべきでした。しかし、菅首相と仲がいい吉村(洋文)知事は訪米直前での要請は迷惑がかかると”忖度”し、判断を鈍らせました。後手に回ったように見えぬよう、吉村知事は菅首相が帰国した後、緊急事態要請を行い、菅首相は直ちに判断を行う、というシナリオを描いています。しかし、大阪府民からしたら、1日の遅れも事態を深刻化させる訳で、何をやってるんだ、という話です。大阪府は重症病床が100%近くなり、既に医療崩壊です。吉村知事は不急の入院、手術を控えるよう病院に指示して、やっている感を演出する前に、やるべきは先週末に緊急事態宣言を政府に要請することでした」
政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身茂会長は「第4波に入ったのは間違いない」と言い、早くから大阪府への緊急事態宣言の再発出について言及していた。しかし、菅首相は「まん延防止等重点措置」の効果を見極めると、訪米後の19日まで判断を先延ばしにしたのだ。
「菅首相は訪米の成果を国会で報告すると胸を張っていますが、バイテン大統領と最初に会うことが目的になっていました。コロナが蔓延する中、東京五輪の開催を米国から支持されたとアピールしましたが、現地の記者から『(五輪開催は)無責任ではないか』と追及される場面もありました。米国で菅首相はファイザーCEOとも対面面談を希望しましたが、断られて電話会談となりました。9月末まで16歳以上の国内接種対象者全員のワクチンが確保できたと宣伝していますが、ファイザーと”実質的合意”という言葉がミソです。明確な契約上の担保を得られなかったことを暗に示しています」(同前)