J2新潟の本間至恩 (c)朝日新聞社
J2新潟の本間至恩 (c)朝日新聞社

 開幕から約2カ月が経とうとしている2021年のJリーグだが、その序盤戦で相変わらずの“強さ”を見せているのが開幕12戦無敗の川崎であり、その中で“凄み”を見せているのが三笘薫のドリブルである。懐の深いボールタッチから一瞬のタイミングと加速力で突破する通称「ぬるぬるドリブル」を止めるのは至難の業だ。だが、今のJリーグには三笘以外にも注目すべき若手ドリブラーたちがいる。

 1人目が、坂元達裕(C大阪)だ。1996年10月22日生まれの24歳。前橋育英高時代に選手権準優勝のメンバーとなり、東洋大を経て2019年にJ2・山形に入団した小柄なレフティー。当時は注目度、評価ともに高いものではなかったが、1年目から即レギュラーに定着して42試合7得点と結果を残して翌2020年にJ1・C大阪に“個人昇格”を果たすと、右サイドからの鋭いドリブル突破で幾度となくチャンスを演出した。

 特にキックフェイントからの切り返しは、まさに「伝家の宝刀」と呼べるもので、対峙するDFは分かっていても引っかかる。というよりも、直前まで蹴るのか蹴らないのか“分からない”のだ。今年に入って日本代表にも招集(怪我で辞退)され、世間一般への知名度も急上昇。現在は離脱中だが、復帰後は再び多くのチャンスを演出してくれるはずだ。

 2人目は、相馬勇紀(名古屋)だ。1997年2月25日生まれの24歳。三菱養和SCユースから早稲田大へ進学し、特別指定選手を経て2019年に名古屋に正式加入。身長166センチと小柄だが、左サイドを主戦場にサイドバックも対応可能なほど対人には強く、攻撃時には類稀なスプリント力を武器に、爆発的なスピードでの「ストップ&ゴー」を繰り返してサイドを切り裂く。

 どんな相手でも物怖じせず、どの時間帯からでも持ち味を発揮できる精神的な強さも魅力で、3月末に行われたU-24日本代表の親善試合でもアルゼンチンの老獪なDFに真っ向勝負を仕掛けながら、何度も相手の逆を突くドリブル突破でチャンスを作り出した。選手層の厚い名古屋では現状、途中出場も含めて他選手と併用という形になっているが、ピッチに立った際には常に縦への突破が期待できるドリブラーだ。

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J2にも注目したい日本人ドリブラー