とはいえ、東スポといえば日本を代表をする夕刊紙のひとつ。同社の全盛期を知る60代の元社員からはこんな話も聞こえてくる。

「『東スポ』のピークは1995~96年ごろくらいだと思うけど、当時はフジテレビや電通の社員もうらやむほど、マスコミ業界で一番給料が良い会社として知られていた。月給や通常のボーナス以外に“臨ボー”と呼ばれる1回100万円ほどの臨時ボーナスが多い時には年間12回出たこともあったよ。当時の年収は入社3年目で1500万円くらい、30代で2000万円前後、40代以上の管理職の中にはJリーガーと張り合うくらいの給料をもらっていた社員もいた。まあ、あくまでピークは4~5年で、その後は徐々に下がっていったけどね」

 しかも、全盛期を味わったOBの中には当時会社を通して給料から積み立てられていた企業年金として、定年退職した今も年間500万円近い額を受け取っている者もいるという。

 働き盛りの40代前半の社員の年収よりも、定年退職したOBの企業年金の方が高いというのだから、現役世代はやりきれない思いだろう。

 紙媒体が衰退する中、多くの新聞社や出版社は業績が良い頃に購入した自社ビルや不動産などの資産を活用することで経営体制を維持しているが、同社は本社も賃貸で現在ほとんど不動産資産はないという。

 となると全盛期の経営陣による社員への“大盤振る舞い”が何よりも今の経営圧迫につながっているように思えるが、

「ウチの会社はつい最近まで東京、大阪に加えて名古屋や九州にも支社があり、他の夕刊紙やスポーツ紙と比べても社員の数が多かったんです。つまり景気の良い時に正社員を増やし過ぎたんですよ。経営不振の要因として部数減やデジタルシフトの遅れも確かにあるでしょうけど、やはり人件費が一番経営を逼迫していたと思います」(前出の40代の社員)

 そうした中、同社は希望退職者の募集と並行して、メーンバンクから紹介された大手コンサルティング会社の協力のもと経営再建に向けて動いているという。50代の社員はこう語る。

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「ここまできたら行く末を見守りたい」