もちろん、タンポンを長時間取り出すのを忘れた人のなかに、まれにトキシックショック症候群(TSS)を発症してしまう人もいる。TSSは鼻の穴などにも生息する細菌によって、男女関係なく発症するものだけれど、タンポンが原因で発症するのは女性だけだ。でも……紙ナプキンだよ? それに人類数万年、女性たちはずっと血を流し続けて、自分たちで処理してきたんだよ? いったい何をそこまで管理したがるのだろうか。

 国というのは、何を危険とし、何が安全かを公的に決める権力でもある。そしてその意識は私たちの生活の細部に影を落とす。だからこそ、私は過敏になるのだと思う。例えば使い捨てオムツは、医薬部外品ではない。ただの雑品だ。海外からも雑品として簡単に輸入できる(生理用品は輸入販売を国の許可や承認が必要)。ちょっと待ってよ、お役人さん? 血が危険なら、ウンコも危険でしょ? 大腸菌ですよね? 腹立たしいのは、使い捨てナプキンは医薬部外品として検査費用や管理なども膨大にかかるため、明らかに使い捨てナプキンよりも大きく、吸水部分の材料費も数倍かかっているであろう紙オムツとあまり値段が変わらないことだ。

「フェムテック」という言葉を最近、あちこちで聞くようになった。断定はできないが、私はこの言葉を2018年くらいから仕事で使ってきて、そしてこの言葉を広めてきたという自負もある。が! まさか自民党が「フェムテック議連」なるものをつくるほど大きな動きになるとは想像もしなかった。フェムテック議連の会長を務める野田聖子さんは「日経ビジネス」の質問に答えて、「(女性のためなどという)そんなきれい事はいいのよ。需要を作る、経済としてフェムテックに関わりたい」と明言していらっしゃる。女性のため=きれい事、というのは野田さん流の照れ隠しなのかもしれないが、「フェムテック」という言葉がまるで何か新しい経済発展の扉を開くような期待をしている日経新聞周りの人たちの勢いを見ると、また、女性の身体や女性モノから、女性のリアルが取り残されていくのを感じる。

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なぜ、国は女の生理に関わろうとするのか