藤浪晋太郎投手(c)朝日新聞社
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 阪神・藤浪晋太郎の「適性」は先発なのだろうか。

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 昨季わずか1勝に終わったが、今年は2月の練習試合、オープン戦で快投を続けてプロ9年目で自身初の開幕投手を務めた。3月26日のヤクルト戦(神宮)で白星こそつかなかったが5回2失点の粘投で開幕戦勝利に貢献。その後も先発ローテーションで回った。マウンド上で吹っ切れた表情を浮かべ、どん底の時期は脱したかのように見えたが、制球難が解消されたわけではない。

 5試合登板で2勝1敗、防御率2.60。この数字だけを見ると合格点をつけられるが、その内容は紙一重だ。27回2/3を投げて21四球、3死球。捕手の構えたミットから大きく外れることは珍しくない。毎回のように四死球絡みで得点圏に走者を背負う。要所を締めていたが、大量失点を喫しても不思議ではない登板が続いた。23日のDeNA戦は5回途中4失点KOで今季初黒星。許した安打は2本だったが、7四死球と大荒れだった。初回から走者がいない場面でもセットポジションで投げるなど、投球フォームで試行錯誤したが最後まで修正できず、翌24日に登録抹消された。

 高卒1年目の13年から10勝、11勝、14勝をマーク。阪神のエースに駆け上がる姿を見てきただけに、藤浪=先発のイメージは強い。昨年、救援に配置転換された時も先発で復活を期すための一時的な措置だった。だが、他球団のスコアラーは「救援の藤浪の方が厄介です」と断言する。

「中継ぎだとスタミナのことを気にすることがなく、160キロを超える直球を目いっぱい投げてくる。先発の時も150キロを超えますが、160キロと10キロの差が大きいんです。他の変化球も効いてくるし、試合終盤にあんなパワーピッチャーが出てきたら攻略は至難の業です。藤浪は中継ぎの方が向いていると思いますね」

 藤浪は右打者に当てる死球が目立っていたが、救援に回った時は制球が安定していた。現役時代にイップスで悩んだというある投手は、「先発と救援は制球に対しての考え方が全く変わってくる」と語る。

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