ジャーナリストの田原総一朗氏は、東京五輪に関する世論調査で中止、延期が過半数に達している理由を論じる。
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5月7日に菅義偉首相は、11日までとなっていた3回目の緊急事態宣言を5月末日まで延長することを決定した。
もともと4月25日に緊急事態宣言を出したとき、医療専門家たちは17日間では短すぎると反対していたのである。
それを政府があえて5月11日までとしたのは、17日にIOCのバッハ会長が来日して、都の幹部や政府の五輪担当者と会議を行って東京五輪の開催を最終的に決めることになっていたためで、菅首相としては、何としてもそれ以前に緊急事態宣言を解除して、感染者数を大きく減らしておきたかったのであろう。
だが、解除の延期を知ると、バッハ会長は17日の来日を取りやめることにした。となると、仮に来日するとしても6月に入ってからとなり、当然ながら会議は6月となる。それで7月の東京五輪開催が決められるのか。
新聞やテレビの世論調査では、国民の7割近くが東京五輪の中止、ないし延期を求めている。国民の多くがこうした気持ちになった原因は、日本がワクチン獲得戦争に決定的に敗北したためであった。菅首相自身がワクチン獲得戦争の敗北を認めているのである。
厚生労働省は、米ファイザー社からワクチンを購入するにあたって、まず百数十人分のワクチンを求めて、それを百数十人に接種し、ひどい副反応が生じるか否かを1~2カ月実験し、副反応が出ないと確認できたところで、ファイザー社と購入の契約を行うことにした。そのために時間がかかり、世界でのワクチン獲得戦争に決定的に敗北してしまったのである。
先進国では、遅い国でもすでに国民の3割以上はワクチン接種が終わっている。だが、日本ではまだ数%にしか及んでいない。日本では、とにかく慎重にということが何よりも大事で、他国ではやっていない試験的接種に時間をかけすぎてしまったのである。