



新型コロナウイルスの感染拡大で多くの業界が沈む中、ゴルフに注目が集まっている。特に夫婦やカップルなど「2サム(2人組)」の利用が増えているという。
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眠い目をこすりながら、テレビで見守った人も多かったに違いない。
夕日に照らされた、米ジョージア州にあるオーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブの18番ホール。松山英樹が4月、この美しき難コースで最後のパットを沈め、日本人がこれまで届かなかった「グリーンジャケット」に腕を通した。
松山が男子メジャー、マスターズ・トーナメントを初制覇したことで、ゴルフ業界が久しぶりに活気づいている。使用していたゴルフ用品などが注目され、練習場も打席待ちになるほどだ。
そんなオーガスタの余韻に浸りながら訪ねたのは、東京・虎ノ門にある会社、その名もオーガスタだ。
「通常ならば仕事帰りで夕方以降が混むのですが、日中にふらっと訪れる新しいお客さんが増えています。コロナ禍にあって、どうやら『屋外』『練習場』で検索して来られるみたいです」
ビル屋上で「虎ノ門ゴルフプラザ」を営む同社の代表、ティーチングプロA級の資格を持つ村井亮太さん(46)は話した。都心にある練習場も昨年は一時、テレワークの影響などで売り上げが落ちた。だが、夫婦でレッスンに通う人など客足はしだいに回復。営業中なら常に打ち放題という年間会員(約17万円)は今春までの1年で、新規10人ほどが入会したという。
もちろん“松山効果”は絶大だが、密を避けられる屋外スポーツだとして、ゴルフ業界はコロナ禍の昨年からフォローの風が吹いていた。
全国145コースを抱えるゴルフ場運営大手のパシフィックゴルフマネージメント(PGM)によると、昨年9月~今年3月の7カ月間を前年同期で比べたところ(ゴルフ場の増減を除く)、全体の利用者は微増だった。とくに年齢別では39歳以下の割合が15%増。なかでも女性が30%増えるなどし、若い人の姿が目につくようになったという。