国立競技場の前にある五輪マークのモニュメント(c)朝日新聞社
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 東京五輪・パラリンピック期間中に東京都が代々木公園、井の頭公園など都内6か所で、人を集めて競技観戦する「パブリックビューイング」の会場を設置することに疑問の声が上がっている。

 代々木公園では、520インチの大型ビジョンを設置。酒類は提供しないが、飲食エリアが設置される。当初1600人としていた観覧席の定員は、感染対策のため事前予約した710人に変更となった。また、公園内の約3万5千平方メートルのエリアをイベント会場として予定し、樹木を剪定。ネット上では「人を集めるために緑を減らすのはおかしい」と反対の署名運動が広がっている。会場設営の工事は6月1日から始まり、公園の一部エリア内の一般利用が制限される。

 この動きに疑問を呈したのがお笑いタレントのダウンタウン・松本人志だった。30日のフジテレビ系情報・ワイドショー番組「ワイドナショー」に出演した際、「ここで飲み食いするんでしょ?」と言及し、「これのために木を切ったのよ。意味がわからん。本当にわけわからないんですけど」と首を傾げた。

 7月下旬から開催される東京五輪に向けて準備が進むが、新型コロナウイルスの感染拡大が収束せず、多くの市民の生活は逼迫している。政府は東京、大阪など9都道府県に出されている緊急事態宣言について、来月20日まで期限を延長することを決定。都内で居酒屋を経営する男性(44)は「もう限界が近い」と漏らした。

「お酒は出せないし、午後8時までの時短営業がまだ続くとなると精神的にきつい。賃料、人件費、食材費…とてもじゃないけど助成金と補助金では全然足りない。政府にも不信感が強いです。今回の3回目の緊急事態宣言も4月25日から5月11日までの予定だったのが、5月末までに延長になり、また6月20日まで再延長になった。いつまで我慢すればいのか。行き当たりばったりの政策でビジョンが全く見えない」

 代々木公園近くの飲食店で働く30代男性は「パブリックビューイング」の会場設置に憤りを隠せなかった。

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