個性派俳優・佐藤二朗さんが日々の生活や仕事で感じているジローイズムをお届けします。今回は、脚本家として、自身の作品についてつづります。
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さた。
おっと。「さて」と打とうとしたら(このコラムの原稿、ガラケーをポチポチ打って書いてるんす)、「さた」になってしまった。
ノッケからなんというどうでもいいことを書いてるんだ俺は。そうなんだそうなんだどうなんだ要するにだ。興奮してるんだ俺は。
ようやく。本当にようやく公開になったんです。わたくしが原作・脚本・監督(あ、出演もしてます)をつとめました映画「はるヲうるひと」、コロナ禍により1年延期になっておりましたが、ようやく。6月4日、全国公開と相成りました。
いつもこのコラムのふざけた内容を黙認してくれている担当K氏だが、今日は本作の宣伝一色になることを、いつもの黙認ついでにさらに黙認してもらおう。黙黙認だ。「もくもくにん」と読んでね。
いやだから興奮してるんです。興奮のあまり、訳のわからないことを書いてるんです。皆さんも黙認して。黙黙認認だ。もくもくにん、よそう。これ以上ふざけるのはよそう。担当K氏の寿命のためにも。
ココでこんな評価を受けた、アソコでこんな賞をもらった、というようなことを作り手が喧伝するのはあんまり格好よくないと思っているのだが、正直そんなことを気取る余裕は、ない。「観て頂きたい」。とにかくその一心で、もう、なり振り構わず今日は書かせて頂く。まあ、観るかどうかの参考にはなるだろうし、いずれもなんの後ろ楯もなく得た評価だ。遠慮せず、書こう。
さつ。
ごめんなさい、今のはワザと。
さて。
「Third Window Films」というイギリスで日本の映画を配給する会社があります。その会社が2019年(日本公開の前に海外の映画祭に出品してたのです)に観た175本の日本映画の中から「2019年映画ベスト10」という独自のランキングを発表しているのですが、嬉しいことに「はるヲうるひと」を1位に選んでくれています。ちなみに前年の1位は「万引き家族」、その前年の1位は「カメラを止めるな!」。カメ止めは日本でまだ公開していない時期にいち早く第1位として発表したそうです。