西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏が、五輪代表選考について語る。
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東京五輪の開催については、新型コロナウイルスの感染状況を最後まで見極めた上だろうが、開催する方向で進められている。
準備を止めるわけにはいかない。どこかで最終判断が必要だろうが、菅義偉首相の話を聞いていると、感染対策と五輪を両立させることを世界に示す必要があるということなのだろう。「国民の命」と「五輪」のどちらが優先するとかではないのだと思う。
五輪の開催可否については、ここで論じるつもりはない。開催を前提に準備しなければならない。野球界も24人の登録枠の選考が進められた。
以前から指摘しているように、選手はコンディションや適応能力を優先で選ぶべきである。年間を通じた成績よりも、今のコンディションや、投手なら登板日が多少ずれても動じない精神力や調整力、制球力などが選考のポイントとなるであろう。
稲葉監督の下、強化試合などで様々な選手を選んできたが、今まで呼んだ選手がすべてではない。複数のメディアが広島のルーキー、栗林良吏や、西武の平良海馬の最終候補入りを伝えた。それでいい。
特に開幕から無失点記録を継続している西武・平良は素晴らしい。四球から崩れる心配はほとんどない。球速150キロ台後半の直球は、空振りをとれる。同じ腕の振りでスライダー、そしてチェンジアップがある。打者からすれば、直球は意識して待たないと打てないレベルの球であり、そこにキレの鋭いチェンジアップがある。私は五輪でもセットアッパーやクローザーを務められると感じている。
今回の五輪は、勝敗によって試合日も変わる。さらに、スケジュール消化のために、シーズン中なら中止にするような悪天候でも、試合を強行することだってあろう。その意味で、何度も雨天中止を経験している「雨柳」こと、阪神の青柳晃洋は下手投げでもあるし、昨年や今年ここまでの成績なら、面白い。