■父のケアマネが救いのメール
ケアマネを探す際には、所属する事業所の特性も見るべきだと石山さんは補足する。
「少し専門的な表現になってしまいますが、『居宅介護支援事業所の特定事業所加算』というのを算定している事業所のケアマネは統計データで見ると主任ケアマネとか管理者のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を受けたり、退院カンファレンスに同席をしたりという比率が高い。つまりそういう事業所を選ぶと質の高いケアマネに出会える可能性が高いともいえるでしょう」
厚生労働省のホームページ(介護サービス情報公表システム)で全国の居宅介護事業所を確認できる。そこから「特定事業所加算」と書かれた事業所を選ぶと良いという。
「そこには、事業所で抱える主任介護支援専門員の人数も公開されていますので、そこで主任が多いかどうかも見ても良いと思います。事例の共有が積極的に行われていて、ケアマネの資質向上に努めていると期待できます」
昨年の夏、父が誤嚥性肺炎で1カ月入院した。看多機の「泊まり」を利用している時だった。看多機から救急車で運ばれた。翌日入院手続きを済ませ、「危ないかもしれない。まだわからない。大丈夫かもしれない」といった内容のメールをケアマネに送ると、「お父さんは戻ってくると信じています」と返事が来た。シンプルな一文だったが、あの時どれだけこのメールに救われたことか。
良い事業所には良いケアマネがいる。今、父や母がそれぞれお世話になっているケアマネもすごく優秀だ。それだけで介護生活の50%が成功しているようなものだ。(本誌・大崎百紀)
■介護保険、基本のキ
プラン作成するケアマネジャー
ケアマネジャーとは、介護保険制度開始とともに誕生した職種だ。正式名称は介護支援専門員。
国家資格ではないが、年に1回行われる「介護支援専門員実務研修受講試験」に合格後、「介護支援専門員実務研修」の課程を修了し、「介護支援専門員証」の交付を受けなければなれない。「介護支援専門員実務研修受講試験」を受けるには、保健や医療、福祉分野での実務経験が5年以上という条件がある。
業務内容は、居宅ケアマネの場合は、ケアプランの作成や居宅サービス事業者等との連絡調整、入所を必要とした場合の介護保険施設への紹介など。
施設ケアマネの場合は、施設サービス計画等を作成し、利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する。関係機関と利用者をつなぐパイプ役でもある。
「主任介護支援専門員」とは、ケアマネの実務経験が5年以上あって主任介護支援専門員研修を修了した者のこと。ケアマネの上級資格といえる。
※週刊朝日 2022年12月16日号