施設より在宅のほうがいいに決まっている。その気持ちは変わらない。でもけんかをしながら一緒に暮らしてボロボロになるよりも、施設に預けて他人の力を借りながら平和に過ごせる方法があり、それができるならそれもいい。それに気づくまで3年もかかってしまった。
振り返れば、施設に入れた後も、出した後も、私はいつも苦しかった。そんな私をいつも支えてくれた職員の一人が介護の司令塔・ケアマネだ。介護生活がうまくいくかは、ケアマネの手腕にかかっている。ここから先は、ケアマネについて考えていきたい。
ケアマネの資格を持つ、東洋大学ライフデザイン学部生活支援学科准教授の高野龍昭さんに話を聞く。
「ケアマネもいろんなタイプがいますが、ありがちなのが、利用者と一緒に悩む『寄り添い型』。『何でも私に任せて』という『お任せ型』、実はこのどちらも良くないんです。一緒に悩んでくれるのはその場では心地よいかもしれませんが、ケアマネの能力としてはダメ。受け止めるだけのタイプもダメ。そこから具体的な提案ができなければケアマネとしては不十分。大事なのは『傾聴力』、リスクの『判断力』『解決力』の三つをもちあわせているということ。これを私はケアマネに求められる三つの力、と言っています」
■経験の共有化 肝は多職種連携
利用する側も(本人も家族も)しっかり「お困りごと」をケアマネに伝えるべきだという。
また家族で意見が一致していないとケアマネも動きづらい。窓口を一本化するなどして混乱させないように注意すべきだ。
どうすれば良いケアマネに出会えるのか。高野さんによると、ケアマネの背景を知ることも一つの手段という。
「現在ケアマネの資格を持っている方のおよそ6割が介護系の資格を持っている方で、看護系が2割、社会福祉士やソーシャルワーカーの資格を持っている方が1割強ぐらいです。このようにケアマネになる前に持っていた資格、もともとやっていた仕事というのはその人にとっての得意分野といえるでしょう。利用者のお困りのポイントにあわせて、ケアマネのもともとの職種を聞いた上で、地域包括支援センターに紹介してもらうのが良いと思います」