地域包括支援センターは、担当エリア内のケアマネを大体把握しており、センターが紹介するケアマネであればある程度の信頼はおけるという。
「たとえば、現在胃ろうをつけていたり、排尿障害があり尿道カテーテルの留置の予定があったり、近い将来医療的な問題が出る可能性がある人の場合は、看護師資格を持つケアマネが良いでしょうし、認知症で家族介護が大変になり、今後は生活面や福祉面での支援が必要となる人であれば介護福祉士や社会福祉士の資格とキャリアを持ったケアマネが良いと思います。そのほうがいろんなネットワークを広げやすい傾向にあるからです」
上級資格もある。
「まだ数は少ないのですが、日本ケアマネジメント学会が認定する『認定ケアマネジャー資格』を持っているケアマネは、かなり信頼できると思います。自分からその資格を取りに行く志の高さも評価できます」
ケアマネを統括するシニアケアマネジャーを経て、現在は国際医療福祉大学大学院教授の石山麗子さんは、こう話す。
「ケアマネには、ケアプランの作成や調整だけでなく、日々変化する利用者の生活を困難にさせるものをすくいあげ、それにあわせたサービスの提供のため、他職種の専門家(医療職や福祉用具専門相談員など)と連携することなどが求められます。誰もが標準的なレベルで実践できるようにと『適切なケアマネジメント手法』が最近誕生しました」
ケアマネの現場で感覚的に行っていたことを体系的に整理したものだ。
「これに即してアセスメントやケアプランの原案を作成すれば、たとえ新人であっても、利用者の生活の将来予測を行い、リスクを見極め、先回りしたケアの調整ができるようになるのです。これからのケアマネの質がこれによって上がることを私自身も期待しています」
石山さんは厚生労働省老健局振興課の介護支援専門官としてこの手法の策定、普及推進に向けた調査研究事業に携わった。この手法を学ぶ研修は今後展開されていくという。
「目指したのは『介護支援専門員の経験値の共有化』です。集めた情報をもとに理学療法士や歯科衛生士、福祉用具専門相談員など多職種の専門職を巻き込んでケアを展開していく。まさに多職種連携が肝なんです」