※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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アエラムック『大学院・通信制大学2022』より
アエラムック『大学院・通信制大学2022』より

 法曹界で女性が占める割合は目標の3割に達していない。日本弁護士連合会と法科大学院では、女性法曹者を増やすためのさまざまな取り組みを始めている。アエラムック『大学院・通信制大学2022』で取材した内容を抜粋してお届けする。

【図表】弁護士、検察官、裁判官…進路別の人数と女性の割合

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 男性も女性もあらゆる分野で活躍できる社会を目指す「男女共同参画社会基本計画」を、政府は2000年に閣議決定し、取り組みを進めてきた。その中で女性の活躍促進として、指導的地位に女性が占める割合を、20年までに30%にするとの目標を掲げていた。

 法曹界全体に占める女性の割合は、少しずつ増えているが、全体の数値はまだ目標の30%に達していない。19年で検察官が24・4%、裁判官が22・2%、弁護士は18・9%だ。

 女性が少ない理由を、日本弁護士連合会(日弁連)で男女共同参画推進本部の事務局長を務める佐藤倫子弁護士は次のように話す。

「昔はワークライフバランスという言葉もなく、採用における女性差別やセクハラも多く、企業などで女性が活躍するのは大変でした。司法試験に受かれば男女関係なく活躍できる法曹は女性にとって魅力的だったと思います。1999年から2000年あたりが司法試験合格者に占める女性の割合がいちばん高い時期でした。しかしその後、企業など社会全体の意識、ワークライフバランスが進み、女性の活躍の場が広がったことで、法曹界を目指す女性学生が相対的に減少したように思います」

 04年に法科大学院が設置され、進学する女性の割合は上昇したものの、司法試験合格者の割合はそれほど伸びていない。早稲田大学法科大学院の石田京子教授は、性別による役割や行動が期待される「ジェンダーロール」が起因しているのではないかと話す。

「法科大学院は、法学部などで学んだ既修者と、法律を基礎から学ぶ未修者に分かれますが、司法試験の合格率は現状既修者の方が高いです。女性はどちらかというと未修者が多く、結果として女性受験者の合格率低下につながっています。そもそも法学部に進学する女性自体が少ないのです。依然として親世代に『女性が法律家を目指すなんて』という意識が根強いようです」

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