ただ、今年は異例のシーズン。何が起こるかわからない。首位のオリックスは、山本由伸という大黒柱に加え、宮城大弥も計算が立つ。打では杉本裕太郎が、大きく飛躍した。ここまで突っ走ってきた選手たちも、この1カ月の空白はうれしいかぎりだろう。後は、終盤の優勝争いの中で、チームが下降線をたどった時に、中嶋聡監督が動けるかどうか。かつて、仰木彬監督は、毎試合オーダーを代えるの目打線を組んでリーグ制覇したが、思い切った策が必要な時は来る。昨年の監督代行時代から我慢の起用で若い選手の経験値をアップさせた中嶋監督だが、シーズン終盤は、我慢でなく、勝負手を見たい。

 今年は九回打ち切りの特別ルールを採用し、引き分けが増えている。下位にいるチームが差を縮めるには勝たないといけないため、攻撃的な采配を取らざるを得ない。五輪期間中の中断の生かし方も含め、今年は先の読めない優勝争いになるだろう。

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2021年7月30日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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