「これまで、天皇をはじめ皇族方の健康問題は、少なくとも公務に影響のあることについては、隠さずに公表するのがモラルだった。それを『個人情報だから』と口にした瞬間から、それは税金でやるのは、おかしいという理屈になってしまう。それを『来日する要人も単身だから、こちらも単身で接遇する』『個人情報だから』――と宮内庁が本気で主張しているとしたら、ばかな役所になったとしか言いようがない」

 五輪で来日する世界のVIPたちは、両陛下との交流を楽しみにしているだろう。前出の八幡氏も、コロナ禍だとしてそれを過度に簡素化することは、プロトコールに照らしても儀礼を欠いてしまうし、「おもてなし」の精神と対極を成すものだ、と懸念を示す。

 皇室を取材する記者たちの間では、宮内庁が理屈にならない理屈を主張して、皇室と五輪に一線を引くのは、天皇陛下が五輪に対する無言のメッセージだとの見方もある。

 果たして本日夜の五輪の開催宣言で、天皇陛下は、どのようなメッセージを出すのだろうか。(AERAdot.編集部 永井貴子)